「永遠の嘘をついてくれ」in つま恋


吉田拓郎&中島みゆき/永遠の嘘をついてくれ(生放送バージョン)

※投稿時の動画が削除されましたので、別の動画に差し替えます。

(旧動画を消せなくてすみません)

 


www.youtube.com

 

この動画は、2006年9月23日の「吉田拓郎かぐや姫つま恋野外ライブ」の映像である。

 

私がネットサーフィンをしていて、この動画に出会ったのは10年程前のことだ。(正確に言うと私が視聴した動画は削除されてしまい、上の動画は今年3月に再UPされたもの)

 

当時私は中島みゆきのことは、「時代」「わかれうた」「地上の星」などをヒットさせたニューミュージックの女性シンガーソングライター程度のことしか知らなかった。当然この曲のことは何も知らずに視聴した。

 

そしてこの動画と中島みゆきのカッコよさに痺れてしまった。何がカッコいいかというと

 

吉田拓郎が自分のギター伴奏でワンフレーズ歌った後、しばらくバックバンドの前奏が続く。

   

・真っ暗な舞台の袖から,誰かが舞台中央に進んでくる。35,000人の観客は何も知らされていないので「何だ?だれだ?」と会場がざわめく。

 

中島みゆきがマイクの前で立ち止まり、スポットライトが当たる。会場は一瞬シーンとなる。

 

中島みゆきが歌いだすと同時に、大画面に彼女が映し出される。観客は中島みゆき本人の登場と知り、大歓声が沸き起こる。

 

・真っ白なブラウスにジーンズというシンプルな衣装。

 

・振りは一切つけず、背筋を伸ばし、シャッキとした感じで歌う姿。

 

・歌い終わって、長い髪をなびかせながらコーラスの一員とハイタッチをして舞台を去る姿。

 

中島みゆきが去った後のバックバンド、コーラスの迫力ある演奏

 

この動画の再生時間は、約10分と1曲の再生時間としてはかなり長いが、ひとたび視聴し始めると、あっという間に終わってしまう。その後何度も何度もリプレイして視聴した。

 

そして、この曲自体にも興味を持って調べてみた。

 

1. 曲の成り立ち

 

吉田拓郎が50才を前にして、スランプに陥り曲を作れなくなっていた。

 

そのころ、他人の作品を歌ったことが無かった拓郎が、中島みゆき「ファイト」をコンサートで歌った。(自分にぴったりな曲だが、今の自分には作れないと思ったそうだ。)

 

中島みゆきを高く評価した拓郎は、引退するつもりで「遺書のような曲を作って欲しい」と彼女に曲の依頼をした。

 

中島みゆきは学生時代から拓郎の大ファンで、デビュー後も「女拓郎」と言われるほど拓郎に心酔し、曲作りに影響を受け、尊敬もしていた。

 

拓郎はそのころ、自分の発信したメッセージは、真意は別として「あれは全部ウソだよ」と語っている。

 

中島みゆきは「これが最後の曲でないのであれば」と引き受ける。

 

2. 詩の解釈

 

詩は難解で、サイトにもいろいろな解釈が寄せられている。1970年代学生運動の闘士達のその後と絡めての解釈もある、

 

しかし、この曲作りの経緯からも、中島みゆきが拓郎に対して、「嘘なら嘘で構わない。が、永遠にその嘘をつき続けて欲しい。弱音など吐かず誇り高く生きて欲しい」と叱咤激励しているとの解釈が妥当と思われる。

 

中島みゆきが拓郎に送った熱烈なラブレター」との解説もある。

 

3. つま恋ライブの裏話(オールナイトニッポンの放送より)

 

①シークレットゲスト

中島みゆきは、このライブに出れば、最初から最後まで観賞できると思って出演を決めた。

実際はシークレットゲストとしての出演だったので、自分の出番までホテルに閉じ込められ、移動はカーテンを閉めたワゴン車で運ばれ、歌い終わった後はそのまま東京へ運ばれたとのこと。

 

②帰り際のハイタッチ

シークレットゲストのため、リハーサルは一度もやらず、舞台の様子が全く分からず、暗闇の中を出ていくのが不安だった。

そこで前日に、知り合いのバックコーラスの一人に目印となるように頼んでいた。

本番ではそれがうまくいき、帰り際お互いの健闘を称えあってのハイタッチとなった。

 

③登場の瞬間

暗闇の舞台の袖から中央へ進み、自分にスポットライトが当たってから歌い始めるまで、会場が一瞬シーンとなった。

この時、自分はこの会場の客から引かれてしまい、お呼びではないと思われたと感じ、恐怖にかられ帰ってしまいたいと思った。

実際は数秒間であったが、その時間がすごく長く感じた。

 

 

その後、このつま恋での「永遠の嘘をついてくれ」は、吉田拓郎ファン、中島みゆきファンのみならず、多くのフォークファンにとって、伝説のライブとなった。

 

私は、当時のこれらのことはまるで知らずに、5年ほどしてから YouTubeの動画で知ることができた。YouTube様様である。