時刻表旅 1

JRに「北海道東日本パス」という「青春18きっぷ」に似た「きっぷ」 がある。

 

JR北海道JR東日本の全路線に乗れるが、新幹線や在来線の特急や急行は駄目で、乗れるのは普通列車の自由席のみだ。細かいルールは異なるが、「青春18きっぷ」の北海道東日本版といったところか。

 

利用期間は、春(3/26~4/22)、夏(7/1~9/30)、冬(12/10~1/10)の年3回のみで、この期間内の連続7日間使用できる。

 

2年前、私はこの「きっぷ」を使用して、北海道の根室まで行く計画を立てた。そして「きっぷ」を使い切った後は、道東の牧場を歩いて摩周湖を目指し、網走まで行き、帰りは飛行機ではなくて鉄道を利用するというものだ。

 

鉄道だけの旅であれば、春でも冬でもいいのだが、この旅は後半に2泊3日の道東トレイルを組み入れていて、夏以外は雪で無理そうなので9月20日頃の出発にこだわった。

 

トレイルの宿泊施設は、牧場や無人山小屋しか無いので、シュラフを買ったり、出発に向けて準備を整えていた9月6日、北海道胆振地震が発生した。JR北海道の各路線は大打撃を受け、私の乗る予定であった路線も、ほとんど不通となった。

 

地震後、少しづつ開通してはいったが、根室線富良野新得)間、釧網線(摩周ー網走)間は9月中の復旧目途が立たないということで、その年の旅行は諦めた。

 

翌年(2019年)は、私が卓球サークルの持ち回り代表を務めていたので、2週続けての欠席はまずかろうと判断して、この計画を先送りした。

 

そして、今年は実行できるだろうと思っていたら、春からのコロナ感染拡大だ。緊急事態宣言解除以降、政府は躍起になってGO TOトラベル事業を推進しようとしているが、コロナ感染は収束したわけではない。私としては長期の旅行はまだ早いと思う。

 

ということで、今年もまたこの計画を断念した。

 

 

せっかく計画したのだから、時刻表でのエア旅行(仮想旅行)をしてみようと思う。

以下は全て創作です。使用した時刻表は、「2018年JTB時刻表 8月号」

 

 

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 <一日目> 

 

・行程:八王子~余目

・利用路線:八高線//上越線//信越本線//羽越本線

・コースタイム 

※ 時刻のアンダーラインは、到着時刻 

 

八王子  5:51          

      ↓

高麗川  6:38 → 6:58

           ↓

高崎        8:26 → 9:27

                ↓

新前橋            9:37 → 9:43

                     ↓

水上                  10:37 → 11:40

                           ↓ 

越後湯沢                12:15 ← 12:14 

                     ↓

長岡            13:40 ← 13:31 

                ↓  

新津      15:08 ← 14:35

         ↓

余目(あまるめ)19:04

 

 

早朝 5:51八王子出発。数年前までは、八高線は高崎までの直通列車が運行されていたが、八王子ー高麗川 間が電化され、高麗川ー高崎 間は非電化の為、高麗川で必ず乗り換えしなくてはならなくなった。高崎8:26着。

 

高崎からの上越線は、この時間帯 水上までの直通はない。高崎で1時間の乗り換え時間を利用して、駅ビルで紅茶を飲み、9:43発の列車に乗車。前橋へ通じる両毛線の分岐 新前橋からは本数が格段と少なくなる。新前橋で乗り換え、水上10:37着

 

水上も待ち時間は1時間、温泉街へぶらり歩いて往復するには、時間の余裕が無い。駅前のそば屋で昼食の山菜そばを食す。水上11:40発、列車は山奥へ分け入って行き、国境の長いトンネルに突入する。トンネルを抜けると、太平洋側とは風景が一変し、越後の国へ入った。川端康成の「雪国」の舞台となった越後湯沢へ12:14到着。

 

越後湯沢での乗り継ぎは非常にスムースで、ホーム反対側に停車している長岡行に飛び乗ると同時に発車、12:15。六日町を過ぎたころから、右窓に広がる、もうすぐ収穫を控えたコシヒカリ田圃の向こうに、八海山の雄姿が見える。 

 

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         写真ACより Johnny Nayata さんの作品
 

長岡13:31着。長岡での乗り継ぎも10分と順調で、13:40の新潟行に接続している。約1時間乗車して、14:35新津着。羽越本線への乗り換え時間が長いようであれば「新津鉄道資料館」を見学したかったが、約30分しかないので今回は諦める。

 

次の乗車は、15:08 新津始発の酒田行だ。乗り換えなしで長距離移動できるのは嬉しい。村上を過ぎてしばらくすると、左窓に日本海が現れる。今日初めて海を見た。丁度越後寒川駅を通過したころ、日の入りの時刻となり日本海に沈む夕日を眺めることができた。

 

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      写真ACより h・・・・・・・・m さんの作品

 

山形県に入って鼠ヶ関(ねずがせき)を過ぎると、日没で暗くて外の景色は全く見えなくなった。

 

19:04 本日の目的地 余目(あまるめ)着。駅前の「余目ホテル」に泊まる。

 

 

 

<二日目>

 

・行程:余目~釜石

・利用路線:陸羽西線//陸羽東線//石巻線//気仙沼線//大船渡線//三陸鉄道南リアス線 

・コースタイム

 

余目   6:17 

      ↓

新庄   7:16  → 7:20

             ↓

鳴子          8:21 →  8:34

                    ↓

小牛田(こごた)           9:31 →  10:40

                           ↓

前谷地                       10:59

                           ↓

柳津                 11:36 ←  11:21

                     ↓  

気仙沼       14:19  ←   13:30 

            ↓

大船渡       15:23

            ↓

盛(さかり)     15:27  →   15:45 

                     ↓

釜石                  16:37

 

二日目は、余目から羽越本線を秋田方面へ北上するルートは取らず、東北地方を横断して太平洋側の釜石を目指すこととする。東日本大震災の復興の様子を自分の目で確かめておきたかったからだ。

 

陸羽西線陸羽東線はそれぞれ、「奥の細道最上川ライン」「奥の細道湯けむりライン」という洒落た愛称が付けられている。国鉄時代には考えられなかったことだ。

 

陸羽両線は、今はまだ早いが秋も深まれば、紅葉の絶景を沢山有し、旅番組でもよく紹介される人気の路線だ。

 

余目を6:17に乗車し、新庄、鳴子と接続もよく、陸羽東線終点で東北本線連絡駅の小牛田(こごた)には 9:31に着いた。次の列車の発車まで一時間強あるので駅前をぶらり。

 

駅の待合室に戻り、朝食も早かったので、少し早いが昼食とする。新庄駅で買った駅弁「山形牛すき焼き弁当」だ。 本当は車内で風景を眺めながら食べたいのだが、最近のローカル線は、昔のようなボックスシートが少なくなり、ロングシートで駅弁を食べるというのは、恥ずかしくもあり様にならない。

 

小牛田10:40発の列車は、10:59前谷地で石巻線から気仙沼線に入り、13:30気仙沼着。気仙沼は町の様子を歩いて見てみたかったが、乗り換えが50分しかなく、駅構内で過ごす。

 

気仙沼14:19発の大船渡線の列車は、駅名になっている「奇跡の一本松」や「陸前高田」「大船渡」といった震災で大災害を受けた町を通って、15:17 盛着。

 

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    「奇跡の一本松」 写真ACより シンちゃんさんの作品

 

  

盛で今日最後の乗り換えをして、15:45発の三陸鉄道南リアス線に乗車。釜石には16:37到着。

 

ちなみに、三陸鉄道はJRではないため、北海道東日本パスは使えないので、別途支払いが必要。

 

釜石の宿は、明日も出発が早いので、駅近くの「フォルクローロ三陸釜石」とする。

 

 

                  ー続くー