名古屋

今回は私の出身地名古屋がテーマです。ここで言う名古屋人とは私のことでは全くなく、一般論としての名古屋人です。尚、本ブログを書くに当たって岩中祥史著「名古屋学」を参照させてもらいました。

 

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           写真ACより サトチさんの作品

 

私は学校を卒業するまで名古屋で過ごした。即ち名古屋出身である。野球は中日ドラゴンズ、サッカーは名古屋グランパスファンで、高校野球は、現在の居住地の方が長く住んでいるが、応援するのは名古屋の高校と言う名古屋愛を貫いている。(いずれも、ここ数年成績は芳しくないが)

 

こちらで暮らしていても、名古屋のことがニュースで見かけると、気になる。

 

最近の話題は、4月末の市長選挙で、河村たかし氏が当選し、4期目の5選を果たした。初当選から12年目、長期の市長就任と選挙前に大村愛知県知事へのリコール不正事件が発覚し、河村氏本人の関与疑惑もある中でよくぞ当選したと思う。

 

選挙は、自民党公明党立憲民主党から共産党までの全ての既成政党が反河村を唱えての戦いとなったが、名古屋市民は河村氏を選んだ。 河村氏は市長に再選されたものの、今後も難しい市政運営が予想される。

 

コロナ変異株による第4波で、名古屋も感染者が急増している。 5月16日発表では愛知県521人(名古屋210人)と6日連続500人越え、東京大阪に次ぐ感染者を記録している。

名古屋には妹家族や友人も暮らしているので、十分気を付けて生活してもらいたい。

 

 

私が名古屋に住んでいた頃、よく名古屋は「偉大なる田舎」と言われ、自分では都会と思っていたので、複雑な気持ちであった。

 

たしかに、東京、大阪は別としても、1200年の伝統が凝縮されている京都、早くから開港して異国情緒にあふれハイカラな横浜や神戸、個性豊かな札幌、福岡と比べても名古屋は人口、経済力では勝(まさ)るものの、都市の魅力という観点では見劣りするのは否めない。※横浜は人口においても名古屋より上

 

しかし、岩中さんに言わせると、名古屋は都会でもなければ田舎でもない。都会の「乾性」と田舎の「湿性」がみごとに調和した空間ということだ。

 

名古屋人は、尾張徳川家の時代から学ぶことを得意とし、立地上濃尾平野の農村地帯であったことから、勤勉な性格で、学んだことを生産に販売に流通に粘り強くコツコツと応用してきた。とくに生産部門においては、自動車産業だけでなく、広く製造業において確固たる地位を国内で築き上げた。

 

ただ、産業が発達した割には、文化の面で他の大都市より出遅れ、他所から来たものには、産業一辺倒で街に潤いが無いと映っているようだ。

 

名古屋駅前は再開発されて、東京と遜色ないビル群となった。

 

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         写真ACより なかのPhoto さんの作品

 

東部には東山動植物園、南部には名古屋港水族館、市街地には本格的なオペラが上演できる愛知芸術文化センター名古屋市美術館御園座徳川美術館熱田神宮、ちょっと足を延ばして明治村とあるにはある。

 

しかし名古屋と言って、全国区で知られているものと言えば、名古屋城、金の鯱ほこ、きしめん、エビフライくらいで、人口全国第4位の大都市にしては、余りにも淋しい。 (エビフライは名古屋の名産でもなければ、名古屋人の特別好きな食べ物でもない。 タモリが名古屋人を「エビふりゃー」とジョークのネタにし揶揄(やゆ)して有名になったに過ぎない。

 

名古屋人は客観的にみても素晴らしいものであっても、外に喧伝したりしない。よそから干渉されたくないし、よそのことにも干渉しない。シャイな気質と江戸時代以来ふところがつねに豊かであったがためにできることかもしれないが。

「そんなこと、わざわざ教えたらんでもええがや」(教えてやる事じゃない)と思っているようだ。

 

パチンコ発祥の地で、自分の家の居間代わりに使える安い喫茶店がやたらと多く、繁華街では地下街が異常に発達した名古屋で、冠婚葬祭に多大な金をつぎ込むので、普段は倹約に努め、お値打ち(自分が支払った金額にマッチする度合いが高ければ高いほど良い。納得すれば、もともとお金は持っているので、かなり高額な物でもドーンと気前よく支払う)が大好きな名古屋人。 ケチ、見栄っ張りと馬鹿にされても、決してめげない。

 

名古屋出身の芸能人有名人は、竹下景子ザ・ピーナッツ、川島なおみ、館ひろし中野良子木内みどり阿川泰子杉浦直樹三國一朗大沢在昌森本レオ、森本周一郎、森田正光松原智恵子かとうかずこ今陽子伊藤みどり浅田真央と結構多いが、自分から名古屋出身であることを明かす有名人は少ない。

 

これは、基本的に名古屋人がシャイであること、「所詮名古屋は田舎、東京にはかなわない。 」との気持ちからか「オレは名古屋の出身だ、文句あるか!! 」と胸を張って主張できない。

 

それは、名古屋を取り巻く自然環境、風土が余りにも豊かであったことから、競争心が欠如し「そんなに気張らんでもええがね」といったおっとりした気質によると岩中さんは書いている。

 

名古屋は「文化不毛の地」と言われることもあるが、なんのなんの江戸時代、尾張徳川家第七代藩主宗春の時代(1730~1739)は文化が大いに奨励された時代だった。 江戸・京都・大坂の間にあって、三つの都市から刺激を受け名古屋独自の文化を形成していった。

 

宗春は、名古屋城内に多くの女性を召し抱え、市内に遊郭を次々開設する。 そして本格的な芝居小屋を設け東西の役者・芸人が名古屋を訪れた。 更に市内に19もの小屋ができ、最盛期には一年間に百本以上の演(だ)しものが催されたという。

 

 芝居だけでなく、あやつり狂言能楽、平曲、茶の湯、生け花、舞踏などの多彩な文化娯楽が、庶民の間で行われていたそうだ。 ただ、この宗春の時代は、徳川八代将軍吉宗寛政の改革で緊縮政策を行っていた時期で、幕府の意に沿わぬと宗春は謹慎を命ぜられてしまい10年で終わってしまう。

 

宗春は、武士の芝居見物も許したので、どこの小屋にも武士、町人が押し寄せ、これがキッカケで名古屋の人は芸を見る目が肥え「芸どころ名古屋」の言葉が生まれたという。

 

 

食べ物の名古屋名物といえば、「きしめん」「味噌煮込みうどん」「ひつまぶし」※「味噌カツ」「かしわのひきずり」「スガキヤのラーメン」「どてやき」「てんむす」等があるが、私は「味噌煮込みうどん」が一番好きだ。

※後輩が名古屋出張で昼食をしようと店に入って壁の貼紙を見て「ひまつぶし(暇つぶし)」と読んで、面白いメニューがあると思ったとのこと

 

名古屋の食文化は、大豆100%を原料にしている豆味噌(赤味噌)に根差している。

 

味噌煮込みうどんは 、腰の強い麺をコクのある豆味噌仕立ての汁で煮込んだものだ。具材はかしわ(鶏肉)、長ネギ、油揚げ、かまぼこなど、普通は煮あがったところで、生卵を落として三分か半熟にして食するのだが、私はこうすると豆味噌の旨味が薄まるように思えて卵を外して注文する。麺に濃厚な汁がからんで、噛めば噛むほど、腰の強い麺に味噌の旨味が混ざり合い、何とも言えぬ幸せな気分になる。

 

容器の鍋のふたには水蒸気を出すための穴が開いていない。 これは出来上がりの味噌煮込みうどんは非常に熱いので、麺と汁を鍋のふたに採って食べる時、汁が漏れないためだ。

 

名古屋に味噌煮込うどんのお店はたくさんあるが、私は「山本屋」の味噌煮込みうどんが一番のお気に入りだ。

 

 

名古屋はまた、ご当地ソングが沢山作られてはいるのだが、全国的にヒットした曲は無い。 私が名古屋に居た頃、石原裕次郎の「白い街」という曲が大々的に宣伝されていたが、大ヒットには至らなかった。

 

数年前リリースされた、レーモンド松屋さんの「真実・愛ホテル」と言う名古屋・栄のホテルを扱った曲がある。名古屋の曲としては異色で面白いと思ったので貼付します。艶っぽい曲です。 (純烈がバックコーラスとバックダンサーを務めているバージョンもある)

 

「真実・愛ホテル」 作詞、作曲、歌唱 レーモンド松屋

 


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