卓球ラケット/義足

私は去年まで、四つの卓球サークルに所属していたが、何れも大会の試合出場を目的としたものでは無く、会員同士の親睦を目的としたもので、和気あいあいと楽しく活動をしてきた。

 

今年初め病気をし、現在もリハビリを続けていることもあって、サークル活動を少し減らそうと考え、二つのサークルを退会し、現在所属している卓球サークルは、二つとなった。(テニスサークルも三つから二つに減らした。)

 

卓球ラケットのラバーは、常に大会出場している人たちは、数か月に一回ラバーを貼り替えているようだが、私は物臭(ものぐさ)で、いい加減な性格なので、今のラケットは、2年近くも貼り替えずにそのまま使用してきた。

 

2年も使い続けていると、さすがにラケットのコーナー部は卓球台の角に何度もぶつけ、ボロボロとなってみすぼらしいし、人に見られると「こんなになっても、まだ貼り替えずに使っているの?」と言われそうで恥ずかしい。

 

 

f:id:tamamisa:20210902114735j:plain

 

 

 

丁度今は、緊急事態宣言が発令中で、その期間内は卓球練習会も休止中なので、2年ぶりにラバーを貼り替えることとする。

 

先週、車で隣の市の卓球専門店へ出かけた。私のラケットはシェークハンドで、ラバーは卓球を始めて以来ずっとフォア、バックともに裏ソフトラバー(表面に凸凹がなく平坦なもの)を使用している。

 

ラバーにはその他、表ソフトラバー(シート表面に小さな粒が施されたもの)、粒高ラバー(表ソフトよりさらに粒の高さが高い)等があり、ラバーによってそれぞれ特徴がある為、試合を目的にする人たちは、自分のプレイスタイルに合わせてラバーを選択している。

 

ラバーに関して、私は卓球を始めた頃から、素朴な疑問を抱いていた。それは、ラバーの違いによって、上記の裏ソフト、表ソフト、粒高によって球の回転、スピード、コントロール性が全く異なり、同じ裏ソフトでもハイテンション、粘着性と種類は様々である。

 

これらの異なるラバーを持った者同士が試合をした場合、人間の技術、テクニック以上にラバーの影響が大きくなってしまうと、試合が公正とならないのではないかということだ。

 

私の考えは、ラバーは種類も厚みもシンプルに一種類に統一し、ラバーに頼らず純粋に人間の技術だけで戦うのが、ベストではなかろうかということだ。

 

道具の良し悪しで、勝敗が決まるのはフェアではなく、スポーツ精神に反すると思うからだ。

 

これに対し、多分次のような反論があると思う。

 

・色々なラバーを選手が使用することにより、打球は様々に変化するので、攻撃側は選択肢が増え攻撃の幅が広がる。レシーブ側はその攻撃に対応するための研究が不可避となり、結果的に攻撃、レシーブ双方の卓球技術が進化し、卓球の試合が面白くなる。

 

この考え方も理解できる。現在の卓球が隆盛しているのも、卓球関係者がラバー開発に精力的に取り組んできたことも一因と思われる。

 

難しい問題であるが、私のように親睦が目的でやっている分には、裏ソフトラバーで十分だ。

 

裏ソフトラバーを買い求めることにするが、前述したようにこのラバーでも、厚さ他色々あって値段もピンからキリまでだ。私は売れ筋のごく標準的なラバーとした。

 

ラバーの貼り替えは、お店でもやってくれるが、私は自分で貼りかえるので、接着のりとサイドテープを一緒に買った。

 

ラバーの下の板(ブレード)は、複数の板を貼り合わせた合板が一般的であるが、私のブレードは、檜の一枚板の単板である。このブレードは、私が卓球を始めた頃に 、卓球の先輩が使用していたものを譲っていただいた。その時点で合板のブレードも持っていたが、単板の方が自分に合っていそうで、以来この単板を愛用している。

 

自分で貼り替えるつもりで、ラバーを買ってきたが、いつもの怠け癖が出て、「面倒くさいし、卓球再開はまだ先になりそう」なので、そのまま放置しておいた。

 

昨夜やっとやる気が出て、貼り替え作業に着手した。

 

まず、古いラバーをブレードから剥がしたら、なんとブレードに亀裂が入って二つに割れていた。合板に比べて割れやすい単板の欠点がもろに出たのだろう。

 

f:id:tamamisa:20210902115026j:plain

 

 

ずっとブレードが割れているのを知らずに、プレイしていたことになるが、今迄一度も違和感を感じたことが無かった。卓球経験の豊富な人が、使用すれば分かったかもしれないが、私のような素人には、割れたことによる打球の差は分からなかった。

 

さてどうするか、新しいブレードを買い求めるか、単板の前に使用していたラケットのラバーを剥がして、それを使用するか、迷った挙句、割れた単板を接着剤で接着させる方法を思いついた。試合を目的にする人とか、お店の人であれば決して推奨しない邪道と思われる。又もや親睦が目的だからと、自分に言い聞かせて、木工ボンドで接着した。

 

次にラバーの接着に取りかかる。接着剤メーカーの説明書には、「接着剤は必ず薄く塗ってください」と書いてある。厚く塗れば塗るほど球の反発力が低下して、球が弾まなくなるそうだ。それから、「貼る時はローラーを使用しない」とも記述してある。これはラバーが縮み、性能が低下するからとのことだ。

 

卓球を始めた頃、お店で買ったラバーを貼り付ける作業を見学していたら、お店の人は接着剤を大量に塗り、ローラも使用していた。このラバーを買ったお店でも、たまたま他の客のラバーを貼っていたが、ローラーを使用していた。お店でもメーカーの指示が徹底されていないようだ。

 

この接着剤を薄く塗るという作業がなかなか難しい。スポンジで引き伸ばすのであるが、薄くし過ぎると透明で見えなくなってしまうので、心配になってどうしても厚めに塗布してしまう。

 

赤のフォアと黒のバックラバーを貼り付け、洋裁ばさみで四角い角を切り取り、ラケット周りにサイドテープを貼り付けて、ようやく完成した。

 

f:id:tamamisa:20210902115359j:plain

 

 

 

 

道具の良し悪しで勝敗がきまるのは、スポーツとしてフェアでないと先に記述したが、障害者スポーツの義足について書いてみたい。

 

9月5日にパラリンピックが閉会したが、選手に提供される義足等の性能が、近年格段と進歩し、走り幅跳びでは、義足を付けた障害者(ドイツ、マルクス・レーム選手)の記録が、健常者の世界記録に迫っている。

 

・健常者世界記録:1991年  マイク・パウエル 8m95

・障害者世界記録:2021年  マルクス・レーム 8m62

 

レームは2014年ドイツ国内の一般(健常者)の陸上競技大会に出場し、8m24で優勝している。今年の健常者の東京オリンピックへも出場を希望したが、IOCから拒否されている。

 

彼は健常者の大会に出て、健常者との競争を望んでいるが、それは全く意味のないものだと思う。サイボーグのような、カーボン製の義足に助けられた記録は、義足の記録であって、人間の身体が作った記録とは、全く次元の違うものだと考えるからだ。

 

もちろん、義足を付けることによる身体の鍛え方において、障害者の方の努力、練習は、健常者のアスリートと同等若しくはそれ以上なされていると思い、パラスポーツの選手の方々には敬意を表したいし、パラスポーツを否定するものでは無い。

 

9月1日の東京パラリンピック走り幅跳びの試合前、メディアはレームが健常者の東京オリンピック優勝記録8m41を上回るかどうかと大々的に喧伝していた。結果はレームが8m18で優勝したものの、8m41には及ばなかった。

 

しかしメディアの報道の仕方にも問題があると思う。義足の走り幅跳びは、健常者の走り幅跳びとは、違う種目と考えるべきで、その記録を比較すること自体がナンセンスだと思う。健常者のマラソン車いすラソンのタイムを比べることが無意味のように。