四国遍路 2

前々回(2021年9月28日アップ)の「四国遍路 1」の続きです。

 

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NHK趣味悠々2006年9月~11月「四国八十八ヶ所はじめてのお遍路」の掲載写真)

 

5. アクセス

打ち始め(札所を巡拝することを「打つ」という)の札所(お寺)については決まりが無く、どこから始めても良いらしいが、四国へのアクセスや打ち終った後の高野山へのお礼参りを考えると、一番霊山寺(りょうぜんじ)から始めるのが最善と思われる。

 

霊山寺は、徳島県北東部の鳴門市にあり、鉄路、空路、バス路で行くことができる。JRではJR高徳線の坂東駅から歩いて10分位であるが、近くに高速高松道の鳴門西というバス停があり、ここからは20分位歩けば、霊山寺に着ける。

 

乗り換えを考えると、高速バスが便利だ。私は一回目は名古屋の妹宅へ寄ってから出発したので、名古屋から徳島行の高速バスを利用し、鳴門北バス停で降り、JR鳴門線鳴門駅まで歩き、鳴門駅から坂東駅までJRで行った。(名古屋からのバスで鳴門西に停車するバスが無かった)

 

一回目の帰りは高野山へのお礼参りで、徳島港からフェリーで和歌山に向かった。四国を一周した後、船で徳島の眉山を眺めながら四国を後にするのも感慨深いものがあった。

逆に、へんろの前に高野山で旅の無事を祈ってから、船で四国入りをすると言う手もある。

 

私の二回目は行きも帰りも高速バスで、高速高松道の鳴門西バス停を利用た。

 

 

6. 宿

修行を目的とした「おへんろさん」や、体力のある若い学生さんの中には、野宿して回る「おへんろさん」もいるが、私は全て宿を利用した。

 

へんろ道は県庁所在地のような大きな街も通るが、大半は四国の田舎や山道なので、宿泊したい所に宿がないこともある。その場合は、宿のあるところまで、コースを伸ばすか、手前の宿でその日の歩行を打ち切らなくてはならない。

 

私の宿泊した宿は、民宿が一番多いが、その他、お寺の宿坊、ビジネスホテル、シティホテル、旅館、国民宿舎ユースホステルに泊まった。

 

民宿は泊まってみないとその良し悪しは分らないので、当たりはずれがあった。お寺の宿坊は清潔で設備もしっかりしていて安心できるが、宿泊できる寺は、88カ寺の内6カ寺のみである。

 

へんろ後のプラスαの旅行も含めて、一回目が52泊、二回目が53泊した。1回目の52泊について、設備(風呂、トイレ、清潔さ)、料理、サービス/思いやりについて独自の判断基準で数値化し、その値を宿泊料金で割って比較した。その結果、高知県香南市の民宿が1位となった。帰宅後その旨を手紙で連絡して、宿の主人に大変喜ばれた。

 

 

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(NHK趣味悠々2006年9月~11月「四国八十八ヶ所はじめてのお遍路」の掲載写真)

 

 

7. 四国4県人の気質

4県を歩いて、私が会った地元の人の印象(あくまで個人的な感想)

徳島県人:血液型で例えると、A型 皆さんとても親切で気配りもしてくれ、よそ者にもやさしく面倒見が良い。遍路標識も至る所にあり、懇切丁寧に指示してくれる。

 

高知県人:血液型で例えると、B型 言葉少なく粗削りな感じだが、根は優しい。感情に流されずドライなところもある。遍路標識は高知県に入ると、徳島県と比べ極端に少なくなり、指示もそっけないものが多い。一回目には高知県で2回道に迷った。こう書くと高知県人は冷たいと思われるかもしれないが、決してそうではない。べたべたともてなすことは苦手だが、へんろに対する理解や親切心は他県と同じだ。

 

愛媛県人:血液型で例えると A型 穏やかでまろやかな性格の人が多かった。おっとりとした美しい女性にも沢山出会えた。

 

香川県人:血液型で例えると O型 民宿のおかみさんは、大らかで面倒見の良い肝っ玉かあさんのような女性が多かった。

 

 

8. 四国の川

徳島県

吉野川: 通称四国三郎と呼ばれる国内有数の大河。へんろでこの川を渡るのは、河口に近い下流なので、川幅が広い。11番藤井寺へ向かう時には、川の中央に広い中洲があるため、吉野川左岸-中洲、中洲-吉野川右岸と二つの橋を渡る。中洲は広大で一面に畑が耕作されている。

 

・鮎喰(あくい)川:12番焼山寺から13番大日寺へは、この川に沿って下る。名前からも鮎が沢山いそうな清流

 

牟岐(むぎ)川:へんろ道は河口近くの橋を渡るのであるが、下流なのに渓流のような清々しい川

 

・海部(かいふ)川:徳島県南端の堂々とした大河

 

高知県

高知県の川は、小さな川も大きな川も、みんな水がとてもきれいで、川底まで透きとおっている。色も青や薄い緑、まさに清流だ。

 

・伊尾木川:室戸岬を回って、奈半利川、安田川に続いて現れる本格的な川だ。この川を渡ると安芸市市街に入る。

 

国分寺川:29番土佐国分寺の近くを流れる川。周囲は広大な農地

 

・二淀川:宮尾登美子の小説の題名にもなった高知市土佐市の間を流れる名河川。橋を渡るのに11分を要す大河なのに、水青く美しい気持の良い川である。

 

四万十川:へんろがこの川を渡るのは、河口近くの四万十大橋、渡るのに13分。仁淀川同様大河なのに清流。

 

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     (四万十大橋から見た四万十川 2017年11月12日撮影)

 

愛媛県

肱川ひじかわ):43番明石寺へはこの川を左に見みながら進む。愛媛県大洲の町はこの川に囲まれ、市民の憩いの場所でもある。初冬の朝、大洲盆地で発生した霧が肘川を下り、霧を伴った冷たい強風が河口を吹き抜ける「肱川嵐」は、伍代夏子さんの歌にもなった。

 

香川県

この時期、香川県の大きな川は、水がほとんど涸れており、水も清流ではなく、川の魅力はなかった。

 

 

9. トンネル

昔、山越えをしていたようなところに、トンネルが掘られ、ショートパスできるようになったへんろ道がかなりたくさんある。足摺岬から宿毛市の39番延光寺へ行く途中、一回目に海岸線をくねくね回り込んで進んだ道に、トンネルができ、二回目の時は30分以上も時間短縮できた。

 

トンネル内は平地なので、歩行スピードは上がるが、危険も多い。トンネルは、基本的に自動車用に作られているので、車道と分離する歩道がないトンネルもある。こんな時は非常に怖い。大型のダンプなどが大音響を轟かせて驀進(ばくしん)して来ようものなら、身の縮む思いだ。自分の存在を車の運転手に知らせるのに、蛍光タスキや懐中電灯は欠かせない。

 

一直線のトンネルは、出口が小さく丸い灯りとなっているが、これが意外と遠い。歩いても歩いても出口が縮まらない。長いトンネルは通過するのに30分位要した。自動車がトンネルに進入すると、小さな車でもトンネル内は反響してゴーっと凄い音がし、車がトンネルを抜けるまで続く。

 

愛媛県宇和島手前の国道56号松尾トンネルは、全長1710m、車の通行量が多く、歩くには排気ガスが心配されたが、隣に新しい高速道のトンネルができ、車が分散され、人も通れるようになった。

 

 

10. 接待文化

四国には、へんろをもてなす文化が存在する。四国の人々は弘法太子を慕う心から、太子とともに歩いているおへんろ(同行二人)に、太子の姿を重ね、お布施をしたり、接待をすることで功徳を積むと考える。自分の行けない巡礼をおへんろを接待することで、自分も巡礼に加わると考える。

 

接待する四国の人は「功徳を積ませてもらってありがとうございます」という気持ちで接待しているので。接待を受けたおへんろさんが「ありがとうございます。」と感謝しても「こちらこそ」という感じだ。こうして地元の人とおへんろさんが、太子さんを通じて繋がる。

 

私が始めて接待を受けたのは、徳島県13番藤井寺へ向かう途中、吉野川の阿波中央橋を渡りきったところで、おばあちゃんが寄ってきて「これでジュースでも買いな」と言って500円をくれた。初めてだったので大いに感激した。

 

<以下私の接待経験>

 

徳島県20番鶴林寺と21番太龍寺の中間の遍路休憩所に、おへんろ用に段ボール一箱のみかんが置いてあり、ジュース代わりに沢山頂戴した。

 

愛媛県大洲の町から少し離れた住宅地で、おばあちゃんに呼び止められ、おばあちゃんの家まで案内され、そこでいなり寿司を箱詰めでいただいた。

 

松山市の46番浄瑠璃寺へ向かう途中、接待小屋があり、おにぎり、漬物、お茶をごちそうになった。

 

松山市53番円明寺から今治市54番延命寺へ行く途中、主婦と思しき方に道を尋ねたら、丁寧に教えてくれ、その後歩いていたら、その主婦が自転車で追いかけてきて、みかんを一袋くれた。

 

高松市85番八栗寺への急な坂道を登っていると、途中民家の庭先で和菓子とお茶の接待を受けた。 

 

                   ー続くー