へんろ日記 10

2月27日にアップした「へんろ日記 9」の続きです。

 

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11月18日(土)(雨/曇り)(2017年/平成29年)

<27日目 宇和島市西予市宇和町)>

 

6:25 宇和島市のビジネスホテルT出発。 未明から外の雨音が聞こえるくらい激しく雨が降っていた。今回の雨具は、ザックも全体がカバーできるポンチョとする。 

 

宿から国道56号に出て、激しい雨の中歩き始めたが、何かおかしい。反対方向に歩いていた。国道沿いにタクシー会社があり運転手さんに確認したら、やはりそうだ。逆方向に引き返す。

 

7:40  北宇和島 ここから国道と別れて、山間の登りの一本坂を進む。雨の勢いがが少し弱くなった。

 

8:40 へんろ休憩所 ここまで、どうも調子が良くない。雨が止んだのでポンチョを脱ぐ。宿毛の宿で同宿した横浜へんろがやってきた。彼も雨具を脱ぎ始めたので、言葉をかけて先に出る。

 

9:15 三間(みま) 長い登坂の先は見晴らしの良い台地だ。刈り入れガ済んだ田圃の中の道を歩いていたら、次第に気分も良くなり、龍光寺のある集落に入る。

 

9:35 41番札所 龍光寺 宇和島のコンビニで買ったサンドイッチを食べる。先ほど休憩所で会った横浜へんろの他二人のへんろが参拝していた。四人の個人へんろが揃うのは珍しい。

 

このあとこの四人が、43番明石寺まで、抜きつ抜かれつしながら進んだ。

 

龍光寺の裏の山道をしばらく行くと、県道に出る。この道は路側にコスモスが植えられていて、今は盛りを過ぎている。一ヶ月くらい前なら綺麗だっただろう。

 

10:40 42番札所 仏木寺 3年前にここを訪れた時、参拝を済ませて、先へ進み歯長峠への山道を登り始めたところで、この寺に金剛杖を忘れたことに気が付き、ザックを山道の脇に置いて、寺まで走って取りに行った。1時間以上時間をロスした。

 

同行二人の大師様の象徴でもある杖を忘れるとは、何たることかと、自分でも恥ずかしくなった。

 

12:45 歯長峠口 歯長峠を越えて、肘川沿いのバス停横の自販機でミルクティを買って休憩。

 

14:40 43番札所 明石寺着。 松山自動車道の西予宇和ICの下を通ってこの寺へ行くのであるが、非常に分りずらい。道に迷い大分遠回りしてやっとたどり着いた。寺で横浜へんろに会ったが、彼も道に迷ったと言っていた。

 

15:30 ビジネスホテルM着。昨日泊まった宇和島のホテルよりは、断然清潔で気持ち良い。受付のお婆ちゃんは親切で、洗濯も無料でしてくれた。

 

夕食はホテル近くのファミレスへ行く。カキフライ、鶏ニンニクステーキ、シーザーサラダ、ビール2杯。今回の四国でファミレスは初めてで新鮮だった。

 

 

27日目の歩数 48,700歩    歩行距離 31.6㎞

 

 

11月19日(日)(曇 風冷たい)(2017年/平成29年)

<28日目 西予市宇和町→大洲→内子町

 

5:10 西予市のビジネスホテル出発。本日も早朝出発。国道56号を北進する。この辺りは旧宇和町の中心部で、道路沿いに市役所、郵便局、学校、病院、旅館、商店等が並んでいるが、まだ暗くてよく分からない。

 

6:30 加茂バス停 夜が明けて明るくなったが、風が冷たく寒い。秋から冬に入ったか?季節の変わり目だ。

 

7:50 鳥坂トンネル 1㎞を超える長いトンネルだが、歩道と車道に段差がないので、大型車両とすれ違う時は非常に怖い。対向車に蛍光タスキと懐中電灯で自分の存在を知らせるのだが、こちらに気付いてくれて大きく右へ寄ってくれる車には、涙が出るほどありがたかった。

 

9:10 大洲北只郵便局 トンネルを抜けると、景観の良い下り坂が続き、坂の終点から大洲の街に入る。

 

10:00 大洲市街 肘川に囲まれた大洲の街は、風情があってどこか懐かしさを感じさせてくれる街だ。伊予の小京都とも呼ばれ、大洲城を中心に発達した旧城下町だ。肱川は夏に鵜飼が催される。

 

映画「男はつらいよ第19作・寅次郎と殿様」の舞台は大洲で、嵐寛寿郎が世が世なら伊予の殿様、大洲城の藩主藤堂久宗役を演じた。

 

又、NHK朝ドラの第6作「おはなはん」のロケ地で舞台となった街でもある。主人公を演じた樫山文枝は、このドラマで全国的に大人気となった。今でも街の中心部には「おはなはん通り」が存在する。

 

市内の「百均」ドラッグストアで文具、湿布等を買う。

 

12:30 新谷(にいや) 明日、明後日の宿の予約をする。

 

13:30 五十崎(いかざき)国道からへんろ道へ入ると、道が凄くぬかるみ、靴が泥だらけになる。

 

14:25 内子(うちこ)町 M旅館着 ここは内子の中でも高級旅館と思われる宿で、いつも民宿とかビジネスホテルに泊まっているので、たまにはいいかと奮発した。 

 

宿にザック等の荷物を預け、内子の街を散策する。

 

内子は、江戸時代から明治大正にかけて、和紙と木蝋(和ろうそく)で栄え、当時の白壁の商家群が軒を連ね、大洲と並んで、四国では全国的にも有名な観光地である。

 

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木蝋生産で財を成した商家の有志が、大正5年に「内子座」という本格的な歌舞伎劇場を作り、今でも往時の面影を残している。

 

宿では、宿毛の旅館で同宿した「横浜へんろ」と又一緒になった。彼はお酒が大好きなのだが、このへんろ中は、酒を断ち一滴も飲んでいないと言う。又トンネルがあってもトンネルの上に旧へんろ道があれば、時間短縮ができるトンネルを通らず山道を選ぶと言う徹底ぶりだ。

 

とかく易きに流れがちな私にとって、彼は眩(まぶ)しい存在だ。 

 

 

28日目の歩数 59,100歩    歩行距離 38.4㎞

 

 

 

 

11月20日(月)(曇/雨)(2017年/平成29年)

<29日目 内子町久万高原町

 

5:10 M旅館出発。今日は愛媛県では難所の「下坂場峠」と「ひわ田峠」を通過し、歩行距離も長くなるので、宿の朝食はキャンセルして早朝出発する。前夜5時出発と女将さんに伝えてあったが、女将さんは起床しておらず、玄関に鍵がかかったままだ。電話で起こす。

 

7:25 河口橋 この辺りまでは、街灯がほとんど無い真っ暗な国道379号を快調に飛ばす。コンビニで買ったサンドイッチを食べる。気温2℃寒い。この先の集落は柿の産地だ。

 

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8:30 国道379号、380号分岐 少し手前から雨がパラパラ降り始めた。

 

8:35 農家倉庫 雨が本降りとなる。農家の農機具等を入れる倉庫を借用して、雨仕様に着替える。昨夜から今朝までのスマホの当地天気予報では、今日一日は雨は降らず曇りの予想だったので、雨の仕度は全く考えていなかった。雨具はザックの一番下にパックしていて、着替えに30分以上かかった。

 

11:35 大込休憩所 昨日内子で買ったおにぎり、ミカンを食べる。寒い所で冷たい物を食べると益々身体が冷える。温かいものが欲しい。周りは農家が一軒だけある台地。雨は容赦なくザーザーと降っている。寒いし誰もいなくて心細い。

 

13:30 太子堂 雨の中、最初の難所「下坂場峠」の急な坂道を越えて太子堂に辿り着く。自販機でミルクティのボタンを押したつもりが、レモンティがでてきた。雨が小降りとなる。

 

14:30 ひわ田峠 雨は止み雨具を脱ぐ。山頂は薄雪が積もっていた。本日の難所「下坂場峠」「ひわ田峠」と二つの峠を制して、朝からの緊張が少し和らいだ。

 

15:15 ホテルG到着。今日の宿に荷物を預けて、44番を往復する。

 

15:50 44番札所 大寶寺(たいほうじ) 杉の大木と山門の大きさに改めて感心する。境内は秋の夕暮れ時、落ち葉がうっすらと積もっていた。

 

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17:00 ホテルへ戻って、大浴場に入浴、今日は冷たい雨に打たれ、身体が芯まで冷えていたので、湯に浸かると身も心も安らいだ。

 

夕食は食堂のカウンターで、若女将に当地の話を伺いながら食事した。この若女将、若々しくて独身の女性かと思ったら、中2の娘さんがいるとのことで、ビックリした。

 

 

29日目の歩数 65,400歩  歩行距離 42.5㎞

 

 

              ー続く(非定期)ー