へんろ日記 13

4月24日にアップした「へんろ日記 12」の続きです。

 

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11月27日(月)(曇)(2017年/平成29年)

<36日目 西条市小松 60横峰寺他>

 

6:00 朝食 S旅館の朝食は、朝から刺身他の豪華なものだった。

 

6:55 S旅館出発 妙谷川に沿った登り一方の県道147号を急ピッチで歩く。左手の丘の斜面に童話の絵本のような赤と黄色の建物が見える。(何の建物か分からない)赤い実をつけた柿の木が晩秋の趣きを醸し出していた。

 

 

8:30 しばらく行くと、林の中に喫茶店があった。この時は開いていなかったが、このような場所で、お客は一日何名来るのだろう。他人事ながら経営が成り立つのか心配になる。

 

8:50 登山口 横峰寺へのへんろ道は「へんろ転がし」の一つで、難所である。

 

へんろ地図の注には、「雨天の際は、へんろ道に沿った沢の水量が急増して、激流になって通行不能となることもある。下流の妙谷川の川底や岩が見える時はよいが、川幅一面に流水の時は、強行を控え、一旦国道まで戻り、先に63番まで打った後、車道で60番を打つのが妥当 我慢・忍耐修行也」とある。

 

昨日は雨であったが、妙谷川の川底の岩が見えていたので、沢沿いの登山道を登ることとする。

 

初めの半分くらいまでは、岩だらけの山道を、グレートトラバースの田中陽希もこんなものかというくらいの勢いで、ぐんぐん登る。後半はバテてダラダラ歩きとなる。

 

10:00 60番札所 横峰寺 バテバテの状態で山門を通過。

 

        写真ACより  Tomo 55 さんの作品

 

境内は一面にガスっていて寒い。休憩所の建屋に入って、自販機のホットミルクティで暖を取る。納経所で、霊峰石鎚山を一望できる弘法大師修行の地「星が森(横峰寺奥の院)」のことを訊くと、15分位で行けるが、この天気ではガスっていて何も見えないだろうと言われ、行くのを諦めた。

 

NHK趣味悠々 2006年9月~11月四国八十八ヶ所はじめてのお遍路」掲載写真

晴れていればこの写真「星が森」のように、石鎚山の全容を一望できるそうだ。

 

10:40 横峰寺出発 ここから尾根伝いの長い山道を3時間程縦走して小松の市中に下る。

 

13:35 61番札所 香園寺 この寺は、建屋が四角いビルになっていて、門とか瓦とか和風のものは一切なく、外観からは全くお寺とは認識できない。本尊はビルの中に有って、金ぴかの装飾物で飾られている。ビルの中でお参りする。商業主義の塊のようで、全く馴染めない。私の中では、四国88カ寺のお寺の中でワースト1のお寺だ。

 

13:50 62番納経  62番宝寿寺の運用が悪いらしく、香園寺の駐車場に仮設の62番臨時納経所があり、そこで納経してくれた。

 

14:30 63番吉祥寺 二寺続けて不快の思いをした後だけに、境内の楠とイチョウの大木の趣きの良さに心が洗われた。

 

納経所では、マスクをしていたが美人のお姉さんに墨書授印して頂いた。横に「ぽっくりお守り」なるお守りが置いてあり、そのお姉さんが言うには「うちのおじいちゃんは、風呂へ入る時以外はいつもこれを身に着けていて、安らかに旅立った」とのこと。私もそれにあやかろうと、そのお守りを即購入した。今も付けている。

 

15:10 旅館K着。

夕食は豚肉のポン酢鍋、へんろの宿では、ほとんどお肉はでないので、久しぶりにお腹いっぱいお肉を食べた。美味しかった。

 

夕食時、私の隣に座った無口で髭の男性、話しかけると、「徹夜で山道を歩き、転んで4日間入院して、また歩いている」と語る。無謀だけれど憎めないような人だった。

 

 

36日目の歩数:45,000 歩     歩行距離:29.3 ㎞

 

 

 

11月28日(火)(晴)

<37日目 西条市小松→四国中央市土居>

6:25 小松の旅館 K 出発 早朝の小松の町を気持ちよく進む。

 

7:20 64番札所 前神寺 荘厳で立派なお寺だ。昨日香園寺を見ただけに、その渋さ、奥深さが際立つ。

 

 

 

8:30 武丈公園 加茂川右岸の公園、春には加茂川堤と共に桜が見事で、西条の桜の名所らしい。

 

9:55 JR西条駅東 どういうわけか道を間違え、へんろ道の国道11号を通り越してJRの踏切まで来てしまった。スマホで現在位置を確認して11号へ戻る。30分以上のロス。

 

11:00 11号から新居浜市の一般道に入る。

 

11:15 中萩小学校 新居浜市の住宅街、メロンパンとアーモンドチョコを食べて一休み。

 

11:40 新居浜アーケード 歩いていた道路がそのままアーケードの中に入る。地方の典型的なシャッター商店街だ。アーケードには、飾りつけがしてあったり、マイクからは音楽が流れているが、人通りがなく開いているお店も少ないので、もの悲しい。

 

12:20 舟木郵便局 手持ちの現金が少なくなったので、お金を下ろす。

 

12:30 交通量の多い11号に合流する。ここから登りの一本坂だ。

 

13:30 関の戸 国道の峠に当たる所。ここから国道を離れ、静かで下りの気持ち良い田舎の道を快適に進む。

 

14:30 JR予讃線を越えたところで、地元のお婆ちゃんからリポビタンの接待を受ける。喉が渇いていたので美味しくいただく。

 

15:00 土居町の旅館 T 到着

ここは、3年前にも泊まった所で、その時接待してくれた若女将は、臨月のお腹をしていた。その時お腹にいた子は3才になるのだが、その若女将は今回も大きなお腹をしていた。彼女とは夕食時、そんなことを、ちょこっとお話しした。

 

 

37日目の歩数:55,500 歩    歩行距離:36.1 ㎞

 

 

 

11月29日(水)(曇/雨)

<38日目 四国中央市土居→三角寺徳島県三好市

 

5:50 土居町旅館 T 出発。旅館の朝食が7時ということで、朝食をキャンセルして4日振りに早朝出発する。暗い国道の歩道を懐中電灯のライトを照らしながら進む。

 

6:50 国道沿いのコンビニ F に立ち寄り、タラコおにぎり、肉まんを買い、コンビニのイートインで食べる。

 

8:45 伊予三島の中心地に入り、車の往来も激しくなる。3年前に立ち寄ったコンビニがマッサージ店に変わっていた。

 

9:30 松山自動車道のガードをくぐり、しばらく山麓を東進した後、山道を急登する。

 

10:30 今にも降り出しそうな天気の下、65番札所 三角寺に到着。ここは、愛媛県最後のお寺なので、卓球サークルの仲間にメールする。

 

 

11:20 三角寺から次へ向かって5分程歩き始めた時、スゲ笠を納経所に忘れたことに気が付き、又長い石段を登って取りに行く。

 

12:50 高知自動車道ガード下 この辺りは丁度、愛媛県香川県徳島県の県境の土地で自動車道も松島、徳島、高知の各自動車道が近くで合流している。

 

13:05 椿堂 ここは四国別格二十霊場の一つだ。雨が本降りとなる。

 

13:10 国道192号線 この道はこの先の峠のトンネル(境目トンネル)を抜けて徳島県に入り、伊予街道として徳島市まで通じている。トンネルまで雨のそぼ降る登り一方の国道をひたすら歩く。

 

14:15 境目トンネル 通過に13分を要す。

 

14:50 旅館 O 着。本日の宿としてここを予約したが満室の為、O が三好市の民宿Hを紹介してくれた。O に着いたらHに電話すれば、車で迎えに来てくれると言う。

 

20分程でHの主人が来て車に乗り込む。乗り物に乗るのは、高知県のゴルフ場の車に乗って以来だ。車だからすぐ着くかと思ったら、10分ほどかかった。歩けば1時間以上だろう。

 

民宿Hは三好市(旧池田町)の吉野川左岸の高台にあり、へんろにとっては別格箸倉寺の拠点ともいえる古い建物の宿だった。吉野川上流の大歩危小歩危等の観光地の近くでもある。旧池田町は、高校野球で全国的に有名になった町で、この宿の最寄り駅は、阿波池田駅である。

 

おかみさんが、濡れた靴用にと古新聞をくれたのだが、中から虫の死骸やら生きた虫やらがでてきて、気持ち悪くて使用しなかった。

 

食堂で、ご主人が最近へんろが減っており、へんろ相手の民宿経営が難しくなっていると話してくれた。

 

夕食は、刺身とカツカレー、久しぶりのカレーが旨い。

 

箸蔵寺を打ってきたというへんろ13回目の札幌へんろと夕食を共にする。穏やかな人で明日80才になると言っていたが、とてもその年には見えない。先達の資格もあるそうだ。

 

17:30 睡眠不足気味で、バタンキューで眠る。

 

 

38日目の歩数:53,800 歩    歩行距離:35.0 ㎞

   

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さて、へんろ旅も「菩提の道場(愛媛県)」の65番まで打ち終わり、いよいよ次回から最終の「涅槃の道場(香川県)」に入ります。

 

            ー 続く(非定期)ー