二月になったと思ったら、来週はもう三月だ。二月は日にちも少ないこともあり、昔から「逃げる」と言って特に早く過ぎていくと感じる。
二月に入って、海外ではトルコ、シリアに大地震が発生し、東日本大震災以上の5万人を超える犠牲者を出した。何百万人と言う人々が家を失い、冬の寒空の下でテント生活を余儀なくされているという。緊急支援が叫ばれている。
シリア北部のアサド政権に対する反政府住民居住区も地震被害に遭っているが、救援物資が、十分に行き渡らないという。彼らは、普段アサド政権に弾圧され、その上地震の被害に遭っても十分な支援が受けられないというなんとも不条理な世界で生きていかなけばならない。
ウクライナでは、ロシアがウクライナに侵攻してから、1年となるが、一向に和平の兆しが見られない。まさにこういう時にこそ、国連の存在価値があるのだが、悲しいことに、国連は和平調停には全く機能せず時が経つばかりだ。その間にも双方の犠牲者は増え続ける。
海外では、暗く悲しい話題が続くが、国内に目を向けると、コロナ新規感染者数はかなり少なくなった。政府もコロナの扱いを5月に、2類から5類への移行し、マスクの着用も基本的には本人の意思に任せるという方針を示した。
私もこの方針には賛成だ。マスクも室内での買い物とか、卓球ではまだ着用しているが、朝ゴミ出しする時や、テニスのプレイでは外している。
行動制限が無くなり旅行も自由にできるようになって、一般市民の感覚もコロナに対しては、1~2年前と比べると随分と変化してきた。私もそうだが、過剰な警戒心が少なくなったようだ。
インバウンドも回復の基調なので、我々の生活も、少しづつでもコロナ前に戻ってくれるとありがたい。
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さて、季節も二十四節気の「雨水」(降る雪が雨へと変わり雪解けが始まる頃)を過ぎ、いよいよ春の花が咲くころだ。梅の時期でもある。梅はサクラのような艶やかな華やかさには負けるが、その香りの奥床さを愛でる人も多い。
現代では「花」といえば、桜を指すが、奈良時代には「花」は梅を意味していた。万葉集には梅の歌は桜の歌の3倍も収録されているという。
今回のブログのテーマは「梅」とし、「梅」に関わる歌を集めてみました。
まずは、艶っぽいお座敷歌から。
1. お座敷歌(端唄・小唄)
①「梅は咲いたか」
梅は咲いたか 桜はまだかいな
柳ャなよなよ風次第
山吹や浮気で 色ばっかり
しょんがいな
②「春雨」
写真ACより かっちゃんさんの作品
春雨に しっぽり濡るる鶯の
羽風に匂う 梅が香や
花にたわむれ しおらしや
小鳥でさえも 一筋に
ねぐら定めぬ 気は一つ
わたしゃ鶯 主は梅
やがて身まま気ままになるならば
サァ 鶯宿梅(おうしゅくばい)じゃないかいな
サァサ
なんでもよいわいな
2. 和歌「東風吹かば」
和歌では、何といっても菅原道真が大宰府に左遷される前に読んだ「東風吹かば」が最も有名な梅の歌であろう。
「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」
訳:東からの風が吹いたら、匂いを寄越しておくれ、梅の花。主がいないからといって、春を忘れるなよ。(これを聞いた梅は感動して一夜のうちに大宰府の道真のもとへ飛んで行ったという「飛梅伝説」がある)
写真ACより 太宰府天満宮「飛梅」の花 あさくらゆきさんの作品
3. その他の「梅」の和歌
ネットの「ジャパノート・梅の和歌 20選」と「短歌の教科書・梅の有名短歌(和歌)集30選」を参照し、その中から私の好みで10首選んでみた。
3.1 梅の和歌20選より
①「梅の花 かばかりにほふ春の夜の やみは風こそうれしかりけれ」
藤原顕綱(あきつな)(後拾遺和歌集)
訳:梅の花がこれほど匂う春の夜の闇夜には、風が吹いているのが嬉しいものだ。
(春の夜の闇夜に、一面に梅の香りが漂っている様がうかがえる。)
②「酒杯(さかづき)に 梅の花浮け思うどち 飲みての後は散りぬともよし」
訳:盃に梅の花を浮かべて思いにふける者同士、飲み終わった後は散ってしまうのもよい。
③「春の夜の 闇はあやなし梅の花 色こそ見えね香やは隠るる」
訳:春の夜の闇には彩(いろどり)がない。しかし梅の花は色こそ見えないが香りは隠れてしまうだろうか(いやそのようなことはない)(①同様、闇の中に香る梅の香りを楽しんでいる)
3.2 梅の有名短歌(和歌)集30選より
1⃣ 万葉集
④「春されば まづ咲く やどの梅の花 ひとり見つつや 春日くらさむ」
筑前守山上大夫(ちくぜんのかみやまのうえのだいふ=山上憶良)
訳:春になると庭に最初に咲く梅の花を、たった一人で見ながら長い春の日を過ごすことなどどうしてできましょうか(皆さんと一緒に見ることができて嬉しいです)
⑤「残りたる 雪にまじれる梅の花 早くな散りそ 雪は消ぬとも」
訳:残っている雪に混じって咲いている梅の花よ、早く散らないでおくれ。雪がきえたとしても(雪の中の梅の花、絵になる光景だ)
写真ACより ponponchan さんの作品
2⃣ 新古今和歌集
⑥「梅散らす 風も超えてや 吹きつらむ 香をれる雪の 袖にみだるる」
康資王母(やすすけおうのはは)
訳:梅の花を散らしながら風が頭上を吹き貫いていったのだろうか。良い香りのする雪が私の袖に散り乱れているよ。(春の雪と風が、梅の香りと一緒に長い黒髪をたなびかせている光景が目に浮かぶ)
⑦「折られけり くれない匂ふ梅の花 今朝しろたえに 雪は降れれど」
宇治前関白太政大臣(うじまえかんぱくだじょうだいじん)
訳:折ることができたよ、紅の色が美しく咲いている梅の花を。今朝は真っ白に雪が降っているいるけど。(鮮やかな紅梅と白い雪のコントラストが素晴らしい)
写真ACより むらさきさんの作品
⑧「大空は 梅のにおひに 霞みつつ 曇りもはてぬ 春の夜の月」
訳:大空には梅の香りでしょうか霞んで見え、春の夜の月も曇り切っているわけでもないおぼろ月ですよ。(大空が霞がかっているのは、梅の香りのせいと思えるほど、梅の濃厚な香りが漂っている)
3⃣ 現代短歌
⑨ 「恋に病み けふ死ぬほどに いと熱きを とめにふらせ 紅梅の露」
山川登美子
訳:あなたへの強い想いに病気になって、今日死んでしまうほどの気持ちの私を止めるために、どうか紅梅の露をください。(与謝野鉄幹を愛した与謝野晶子とライバルの登美子、鉄幹が好きだった梅を使い彼のことを「紅梅の露」と詠んだ熱い歌)
⑩ 「梅の花 さやかに白く 空蒼く つちはしめりて 園しずかなり」
訳:梅の花が白くくっきりと見えていて空は青く、土はしめっていて梅の園はしずかである。(快晴の空の下、シーンとした園の中の白梅を眺めている様子がうかがえる)
写真ACより G photo さんの作品
以上「梅」関連の小唄と11首の和歌をを並べてみました。お気に召した歌はありましたでしょうか?