’26年秋場所の朝之山

大相撲秋場所が9月13日から9月27日まで両国国技館において開催された。

 

二度、三段目迄陥落し、そこからから這い上がって今年の初場所で再再入幕を果たした朝之山は、成績を二桁(10勝)以上とし、早く小結以上の三役に復帰することを目標にしている。

 

朝之山の初場所以降の成績は、

初場所:9勝6敗、春場所:8勝7敗、夏場所:7勝5敗3休、名古屋場所:9勝6敗

といずれも後一歩のところで、目標の二桁に届かない。そして毎場所、前半は好調で早い段階で勝ち越しの8勝をあげるが、最終盤に崩れて10勝が出来ない。

 

先の名古屋場所では、十日目で8勝2敗と次も勝てば幕内の優勝戦線に加わるというところで、2連敗して優勝争いからは脱落し、更に千秋楽で高安に勝てば念願の二桁というところで負けてしまった。

 

悔しい思いは本人が一番しているはずで、秋場所直前には、幕内力士6人(熱海富士、義ノ冨士、尊富士他)を抱える伊勢ケ浜部屋へ出稽古に出向いて本番の調整に励んだ。

 

秋場所の朝之山の番付は、東前頭6枚目である。

 

この番付の取組は、中入り後後半の5時前後に組まれることが多い。その時間のNHK相撲中継は丁度5時のニュースに重なり、ニュース中は仕切りが中断されたり、取組後の正面からと向こう正面からのビデオ映像が省略されることが多い。

 

九日目の隆の勝戦では、ニュースが終わった時には勝負がついた後で、生で見ることが出来ず、録画での放送だった。私は、朝之山が土俵に上がってから蹲踞、四股をし仕切りをして勝負するまでと勝負後のビデオを全部見たい。今場所はニュースと重なる時は毎回モヤモヤしていた。

 

 

<秋場所の朝之山(東前頭6枚目)の星取表>

 

          対戦相手          決まり手     勝敗         

初日     前頭6枚目   一山本      寄り切り      〇    

二日目    前頭7枚目   錦富士      すくい投げ     〇     

三日目    前頭5枚目    狼雅       押し出し     ⚫

四日目    前頭5枚目   欧勝馬      上手投げ      〇

五日目    前頭8枚目   尊富士      突き落し      〇

六日目    前頭8枚目   平戸海      突き落し      〇

七日目    前頭7枚目   藤青雲      肩透かし      ⚫

中日     前頭9枚目    獅司      寄り切り      〇      

九日目    前頭4枚目   隆の勝      引き落とし     ⚫

十日目    前頭13枚目   阿炎       押し出し      〇

十一日目   前頭10枚目   金峰山      寄り切り      〇

十二日目   前頭3枚目   美ノ海       寄り切り     〇

十三日目   関 脇    熱海富士      寄り切り      〇

十四日目   関 脇     藤ノ川      突き落し      ⚫

千秋楽    前頭2枚目   義ノ冨士      寄り倒し     ⚫

 

 

・初日の対戦相手は、一山本が組まれた。二年前の名古屋場所の一山本戦で朝之山は左膝の大怪我をして3場所休場し、三段目迄陥落した因縁の相手だ。復帰後初めての対戦である。相撲を取ってもどうしても怪我をした時のことが 頭に浮かび相撲に集中出来ないのではないかと私は心配した。

 

結果は、朝之山が立ち合いからの一方的な攻めで一山本を寄り切り、初日を白星で飾った。朝之山にとってこの白星は、精神面で非常にプラスになったと思う。

 

・五日目までは、先場所大事なところで負けた尊富士にも勝って、4勝1敗とし序盤戦を順調に経過する。

 

・その後、藤青雲、隆の勝にそれぞれ肩透かし、引き落としで敗れたものの、十一日目に金峰山を寄り切りで破って8勝3敗と勝ち越した。今場所も朝之山は、前に前に出る相撲を心掛けていて、見ていて気持ちが良い。

 

・終盤戦となり、好成績の力士は星を潰し合う取組が組まれるようになる。十二日目に朝之山は、相星の美ノ海を寄り切って9勝3敗とし、秋場所の優勝戦線に名前が登場するようになった。この時点でトップは1敗の横綱大の里、2敗はいなくて3敗が大関安青錦、関脇藤ノ川そして朝之山である。

 

・十三日目、朝之山は今場所初めて役力士と対戦することとなった。相手は198㎏の巨漢の関脇熱海富士だ。熱海富士は今場所11勝以上すると大関に推挙されると予想され、ここまで4敗しているのでこの一番は是非とも勝ちたいところだ。朝之山の熱海富士とのこれまでの対戦成績は朝之山の2勝1敗である。

 

取組は、立ち合い先に手をおろした朝之山は、熱海富士を迎え撃つように真っ向勝負でぶつかると、素早く前まわしを掴んで右四つに、そこから渾身の力で寄り切った。朝之山の圧勝である。私はテレビで見ていてその瞬間バンザイを叫んだ。

 

勝った朝之山は10勝3敗とした。十三日目を終わってこの日大の里と藤ノ川が敗れたので、優勝争いは2敗の大の里、3敗の安青錦、朝之山の三人に絞られた。

 

・十四日目の対戦相手は、今場所3大関を破っている新鋭の関脇藤ノ川だ。朝之山は今年の初場所で藤ノ川に押し出しで勝っているので、いつもの相撲を取れば勝てると思った。

 

取組は、朝之山立ち合い頭から当たって左から抱かえ込みながら土俵際へ攻め込む。ここで、俵に足を残した藤ノ川に逆転の突き落としを許してしまった。これで10勝4敗となり優勝戦線から脱落する。

 

・千秋楽の相手は、これも若手の義ノ冨士だ。これまでの対戦成績は1勝1敗。

朝之山は立ち合いから右四つに組むも左上手に届かない。胸を合わせて強引に前に出るが体を入れ変えられる。この後義ノ冨士の厳しい寄りを俵で懸命にこらえるが踏ん張れなかった。これで10勝5敗となって朝之山の秋場所が終了した。

 

・今場所は再入幕してから初めて目標の二桁勝利を達成できた。喜ばしいことではあるが、又もや最終盤で連敗してしまい悔しい場所となった。

 

「もし」と言う言葉が許されるならば、

①十四日目が終わった時点で、大の里と安青錦が3敗となった。もし朝之山が藤ノ川と義ノ冨士に勝っていれば、千秋楽で大の里か安青錦との優勝決定戦が組まれることになったはずである。そしてそこでもし勝てば秋場所を優勝したかもしれない。

②もし千秋楽に勝っていれば、敢闘賞を受賞できた。そして来場所は三役の小結に昇進できたかもしれない。

 

①の可能性は低いが、②は十分その可能性があった。大変惜しいことをしたが、今場所の朝之山、怪我もせずに頑張ったと思う。お疲れさまでした。

 

来場所は前頭の上位に番付も上がると思う。横綱はじめ役力士との対戦が組まれる番付だ。藤ノ川21才、義ノ冨士25才、といった若手の生きの良い力士も台頭している。朝之山32才の活躍を期待する。

 

 

 

                  ー了ー