私の脳梗塞 (発症から退院まで 11)

1月15日(金)

早朝5:00頃、トイレへ行って帰ってくると、夜勤看護師さんが、椅子に座って眠っている患者さんたちをそれとなく目配りしていた。この時間は、朝の点灯前で一番落ち着く時間帯なのだろう。

  

先日リハビリ病院の件でコメントいただいたベテラン女性看護師さんに、「お手の空いた時にでも、医療の基本的なことを教えていただけませんか」と言うと、「今ならいいわよ」と言って私のベッドの横まできてくれる。

 

他の患者さん達はまだ就寝中なので、小さな声で質問を始め、看護師さんも小さな声で答えてくれた。

 

・血圧の単位は何ですか?:水銀柱です。では、血圧130というのは、130/760気圧とい                                  うことですね。そうです。

 

・人間が立っていて心臓から送られた足の血液が、静脈で重力に逆らって心臓まで戻るのはどうしてですか?足(ふくらはぎ)は第二の心臓と言って、血管の周りの筋肉が収縮して静脈の血液を戻す働きをするとは聞いたことがありますが、毛細血管までそんな働きがあるのですか?:心臓の収縮で拡張する時、吸引する力が働きます。又静脈には逆流しないように、逆止弁もついています。

 

・神経ってなんですか?で電気信号ですか?

 

・私は自立で歩けるのに、病院内のコンビニへ一人で行くことを許されないのは何故ですか?:SCUの患者さんは急性期の患者さんです。急性期は何が起きてもおかしくない期間です。だから、一人では許可されません。

 

というような全くの初歩的な質問をぶつけた。看護師さんは嫌な顔もせず丁寧に対応してくれた。

 

6:00の点灯時間となる。病院の一日が始まった。

 

 

朝一番に、看護師さんから明日11:00に、私の現状と、これからのことについて、S主治医から家族に面談があると告げられる。

 

N先生のリハビリが始まる。もう何時退院してもいいようなメニューを考えているみたいだ。

 

ルーチンの運動が終わると、私は1階のお店の並んだ通りに繋がった8階の階段へ連れていかれ、「1階まで手すりを使わず下りましょう」と言われる。

 

1階まで降りると本館フロアのかなり長い通りを一周する。再び階段へ戻り、8階まで一気に登る。さすがにはーはーする。しかし、1階から8階までの階段を上り下りしたという自信に繋がった。

 

 

 

1月16日(土)

 

11:00 主治医のS先生の家族面談があり、来週19日(火)14:00に本病院を退院し、リハビリ病院には行かず直接自宅へ帰ることが正式に決まった。

 

日勤の看護師さんに「お陰様で退院が決まりました」と報告すると、SCUから直接退院するのは極めて稀なケースだと言われた。

 

名古屋の妹や心配してくれているお友達に、メールで退院決定を報告する。

 

今日日勤の、実家が娘と同じ町のがんばり屋の看護師さんは、明日から遅い夏休みで、コロナで行くところもないので、実家に帰るという。彼女とは今日が最後となった。

 

彼女が帰る時、入院中大変お世話になったことの礼を言い、彼女の普段の頑張りを労(ねぎら)い、「これからもこの病院で働くことに誇りをもって頑張ってください。」と言ってお別れした。  Have  a nice holiday!!

 

 

                   ー続くー