前回の続きで、<七日目>の花咲線は、北海道東日本パス使用、<十日目><十一日目>は、一般乗車券使用を前提としました。列車の時刻は、JTB時刻表(2018年8月号)を使用しました。
<八日目><九日目><十日目>のトレイルは、2015年4月30日北根室ランチウェイ事務所発行の「北根室ランチウェイ オフィシャル ルートマップ」を参考にしました。
これらを使用しての、仮想の旅日記 最終回です。
<七日目>
・コースタイム(アンダーラインは到着時刻)
根室駅前 8:20
↓
納沙布岬 9:04 → 11:50
↓
↓
厚床 14:19 → 15:40
↓
中標津バスターミナル 17:00
函館以来の遅い出発、根室駅前8:20のバスに乗って、根室半島の先端、納沙布岬を目指す。バスは人家のほとんどない草地の中を走って、9:04納沙布岬到着。バス停周りは、土産物屋があるのみで、閑散としている。歩いて灯台まで行き、辺りを散策する。昆布の匂いがする。北方領土の歯舞諸島はすぐ先だ。
納沙布岬 写真ACより K.M=KARIBITO さんの作品
11:50のバスで根室に戻り、駅前のラーメン屋で昼食とする。ラーメンはこの旅始めてで、油そばを注文。13:33の釧路行花咲線に乗車、厚床で14:19着。
北海道東日本パスを使用してのJRの旅は、本日で期限が切れるので、この厚床駅下車にて終了。連続7日間最大限有効に使わさせてもらった。
15:20中標津行のバスに乗る。厚床ー中標津間は、JRが国鉄時代、標津線の支線が敷設されていたが、1989年廃線となった。北海道には、鉄道ファンに人気の旅情溢れる、美幸線、興浜北線、南線を始めとして、実に多くの路線が廃線となった。
15:20中標津バスターミナル着。
今夜の宿は、バスターミナルから歩いて10分の、ホテルマルエー温泉とする。温泉に浸かって明日からのトレイルに備える。
<八日目>
この日から、2泊3日で、ここ中標津の交通センターから釧網本線美留和駅まで、北根室ランチウェイ(Ranch Way)71.4㎞をトレイルする。
Ranchとは、大牧場のことで、北根室ランチウェイとは、根釧平野の大規模酪農地帯を貫く道を意味する。
北根室ランチウェイ オフィシャルルートマップ
・コースタイム
中標津交通センター 8:00
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中標津空港 8:50
↓
開陽台 12:00 → 13:00
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レストラン牧舎 16:00
中標津交通センターを8:00出発。道立ゆめの森公園内の散策路を通って中標津空港へ出る。空港からしばらくすると、右に桜井牧場の巨大な青いサイロが見える。この辺りは、桜井牧場の敷地内であるが、牧場の好意によって通行できる。
カラマツの防風林内の小道を過ぎると砂利道となる。この道は、6.5㎞の真っすぐにのびた一本道で、その先が開陽台だ。開陽台12:00着。開陽台からは雄大な草原が眺められ、地球が丸く見えるとも言われているところだ。ここで1時間休憩をとり、中標津のコンビニで買ったサンドイッチをほおばる。
開陽台を13:00に出てカイヨウ川を渡り、少々キツイ坂を登ると町営牧場の広大な眺めが楽しめる。この後、山口牧場、保科牧場、松岡牧場、沖牧場の敷地内を通過するが、桜井牧場同様、牧場の好意により通過させてもらう。
写真ACより chichibu417 さんの作品
この辺りは、マンパス(家畜を通さず人間だけが通れるゲート/柵)が数多く存在し、くぐり抜けたり、登ったり、跨いだりして通過する。
レストラン牧舎16:00着。本日は佐伯農場のレンタルハウスに宿泊する。レンタルハウスには、牛舎を改装したもの、牧草運搬車を改装したもの、仔牛の保育用に使う「カウハッチ」を転用したものがあるが、私は一人なので、カウハッチとする。
レンタルハウスは寝袋が必要で、ザックの底に詰め込んだ寝袋を、この旅で始めて使用する。
<九日目>
・コースタイム
レストラン牧舎 7:40
↓
養老牛温泉 10:00 → 11:30
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西別岳山小屋 16:00
レストラン牧舎7:40出発。竹下牧場、横田牧場と昨日と同じような風景の中を進む。養老牛温泉10:00着。無料露天風呂として有名な「カラマツの湯」に入湯する。北海道の露天風呂、気持ち良し!
養老牛温泉に1時間半滞在し11:30出発。途中ケネカ湿原を通過、この辺りは、熊が出没するところなのか、先端に熊よけ鈴のついたポールが数本あった。
後半はだらだらとした登りの砂利道が続き、16:00西別岳山小屋に到着。山小屋は無人小屋なので、食事は、パン、チョコレート、干しブドウなどの非常食のようなもので済ます。
<十日目>
・コースタイム
西別岳山小屋 7:30
↓
西別岳 9:00
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摩周湖第一展望台 11:00 → 12:00
↓
美留和(びるわ)駅 13:30 → 15:40
↓
網走駅 17:17
西別岳山小屋を7:30出発。歩き始めてすぐに、「がまん坂」というキツイ上り坂だ。
1時間半頑張ると、標高800mの西別岳山頂で、あとはなだらかなヒルウォークのような道だ。
右に摩周岳への分岐を過ぎると、摩周湖外輪山の道となる。湖の絶景を楽しみながら歩くこと1時間半、11:00に摩周湖第一展望台に着く。
写真ACより SATO3 さんの作品
展望台で1時間ゆっくり休み、摩周湖を十分堪能して12:00に下山する。釧網本線美留和駅に13:30着。
北根室ランチウェイ71.4㎞のトレイルはここまでである。
美留和駅で2時間少し待って、15:40発の釧網本線網走行に乗車。列車に乗るのは3日振りだ。日が落ちて暗くなりかけた網走駅に17:17着。この旅最後の宿も、駅近の「ホテルルートイン網走駅前」とする。
<十一日目>
・行程:網走ー札幌ー新函館北斗ー東京
・利用路線:石北本線//函館本線//千歳線//室蘭本線//函館本線//
・コースタイム
網走 5:56
↓<オホーツク2号>
札幌 11:18 → 12:16
↓<スーパー北斗12号>
新函館北斗 15:49 → 15:17
↓<はやぶさ34号>
東京 20:32
今日は旅の最終日、隠れ鉄ちゃんと自負している身としては、ここまで鉄道できて、帰りは飛行機という訳にはいかない。
鉄道でも、網走を朝6時少し前の特急に乗れば、夜の8時半には東京に着けることを実証した。普通列車で一週間以上かけてきた距離を、一日の乗車で敢行できる。それに、網走へ来るまで37回乗り換えたが、帰りの乗り換えは、たったの2回で東京に着いた。さすがに特急や新幹線の威力は凄い。
しかし、特急や新幹線に頼らず、普通列車でコツコツと時間をかけてする旅も、乙なものであるし、考えようによっては贅沢な旅だと思う。
(時刻表旅 終)
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新型コロナの影響で、今年になって一度も旅をしていない。その気晴らしで、時刻表を使って仮想の旅をしてみた。実際に一度も訪れていない場所(二日目以降はほとんど)を、行ってきたように書くのも結構面白かった。
2年前の時刻表を使用しているので、その後の時刻表の改編等もあって、現在この通りの旅はできないと思う。それと、北根室ランチウェイも、オフィシャルサイトに、「新型コロナ感染拡大防止のため、2020年4月5日をもって、当面の間トレイルを閉鎖する」と記載されていた。