へんろ日記 14

5月15日にアップした「へんろ日記 13」の続きです。

 

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11月30日(木)(曇/雨)(2017年/平成29年)

<39日目 徳島県三好市 → 香川県観音寺市 

 

5:30 H荘 朝食   食後、H荘のご主人に、昨夜泊まった二人のへんろ(私と札幌へんろ)を昨日へんろ歩行を中断した地点まで車で送ってもらう。

 

6:55 雲辺寺登山口 ここから急な登山道だ。朝一番でいきなり急勾配を登るのはキツイ。札幌へんろと一緒に登り始めたが、途中から私が先行して別行動となる。

 

8:05 舗装された車道に出る。歩きやすいので、快適に飛ばす。

 

8:45 66番札所雲辺寺着 霧の中から荘厳で大きなお寺が現れた。標高900mの山上にあり、凄く寒い。ここは観音寺方面の麓からロープウェイが敷かれている。

 

本堂、大師堂の参拝を済ませて納経所に行くと、ロープウェイで来た団体さんの添乗員さんが数十冊の納経冊子を預けるところで、一足違いで遅れをとった。

「こういう場合、一人くらい先に順番を譲ってくれてもいいのに」と思ったが、これも修行と我慢して待つ。

 

境内で札幌へんろと再会し、お互いの無事を祈ってここで別れる。

 

9:05 雲辺寺出発 下山の登山道に出るまでの道の両側に道端いっぱいに羅漢像が建てられている。一体一体皆違う顔かたちの羅漢さんに見守られながら進む。

 

 

 

10:35 1.5時間の長い下りの登山道を、何度も転びそうになりながらも何とか麓の一般道に出る。緩い下りの舗装道路の歩行は、何も神経を使わず、左右の足を交互に出すだけで進めるので天国のようだ。

 

11:50 67番札所 大興寺 H荘で頂いたバナナとみかんを食べる。雨が今にも降りそうな空模様

 

13:15 高松自動車道高架近くのうどん屋さんに入る。香川県に入ったので、これからは道中沢山のうどん屋さんの脇を通ることになる。私はうどん好きなので嬉しい。

 

店のお姉さんは、へんろの私に気を遣ってくれた。「ぶっかけ」を注文、麺は讃岐うどんの腰があって良かったが、つゆがとてもしょっぱかった。

 

14:45 68番札所 神恵院(じんねいん)、69番札所 観音寺 68番と69番は隣り合わせに存在する。へんろ参りには非常に効率的だ。

神恵院、観音寺とも境内はよく手入れされており、庭が美しい。

 

 

 

16:40 70番札所 本山寺 夕暮れ時訪れたこのお寺は、落ち着いて風情があってなかなか良いお寺で、私の好みでもある。五重塔はこの時修繕中で、完成は2年後とか。

 

私のテニスコーチの実家が、このお寺の近くにあるということなので、コーチに70番まで来たことを、メールで報告した。

 

17:30 Hビジネスホテル 宿泊費が3800円とバカに安いので、田舎の古いホテルかと思ったら、あにはからんや設備は◎、新しいマンションのようだった。管理人のおじさんは、香川県で一番安いと言っていた。

 

19:00 夕食はホテル近くの焼き肉屋へ行って、焼肉と冷麺にする。

 

 

39日目の歩数  59,200 歩   歩行距離 38.5 ㎞

 

 

12月1日(金)(快晴)

<40日目 観音寺市 → 善通寺市

 

6:25 Hビジネスホテル出発

 

6:30 70番札所本山寺 昨日もお参りしたが、道中なので二度目の参拝をする。

お寺の周りの民家は、テニスコーチと同じ苗字の表札が多く見られた。

 

7:45 加茂下 三年前にも立ち寄ったうどん屋さんに入る。前回同様、肉うどん、おいなりさん、しそにぎり、玉子焼きを注文する。後ろの二つは、食べきれないので昼食用。前回は、お腹が減っていて凄く美味しく感じたが、今回は普通だった。

 

8:10 車の往来が多い国道11号から一般道のへんろ道に入る。香川県に入って目に付くのは、うどん屋さんとため池の多いことだ。小春日和ののどかな讃岐平野の田舎道を、気持ち良く歩く。

 

途中自販機でお茶を買おうと思って、小銭入れが無いのに気付く。「数千円入っていたのにな~ ありゃま~」と思う。

 

9:55 71番札所 弥谷寺(いやだにじ) 本堂は山の高いところにあって、山門から長い長い石段が「これでもか」と続く。試されているようだ。本堂の中に弘法大師が修行したと言われる岩の洞があり、厳粛な雰囲気を醸し出していた。

 

11:20 弥谷寺の裏手から山を下りて、いくつかのため池の横を通って、72番札所 曼荼羅寺に到着。こじんまりとした比較的小さなお寺さんだ。境内のベンチで、朝のうどんやさんから持ち帰ったおにぎりと玉子焼き、それに門前で買ったみかんを食べる。

 

20㎏のザックを担いで野宿をしながらのへんろと話をする。明け方は寒くて目が覚めると言っていた。

 

12:00 73番札所 出釈迦寺 目の前のに見える我拝師山で弘法大師が幼少の頃修行したという。その時、断崖絶壁から身を投じ、釈迦如来と天女に救われたとの伝説だ。

 

12:50 74番札所 甲山寺 この辺り札所が密集しており、次の大きな善通寺の一つ手前で、地味な存在のお寺さんである。

 

13:35 75番札所 善通寺 善通寺は四国88カ寺の中で最大のお寺さんである。真言宗善通寺派総本山で弘法大師誕生の地でもある。へんろにとっては聖地なのだ。高野山と京都東寺とともに、弘法大師三大霊場とされている。

 

ここでは他の札所の大師堂に相当するのが、御影堂といって本堂クラスの大きな建物だ。

 

 

 

 

境内の土産物屋で、友人達8人分のお土産として、お守りを買う。

 

14:20 いろは会館(善通寺境内の宿坊) 3階建てのホテルのような建物だ。3時前であるが入れてくれた。洗濯は無料、風呂は大浴場で私が一番乗り、一人で気持ち良い。

 

 

40日目の歩数  39,900 歩    歩行距離 25.9 ㎞

 

 

 

12月2日(土)(晴)

<41日目 善通寺市 → 高松市国分寺町

 

6:00~7:15 御影堂でのおつとめに参加する。12月に入ってこの日の朝は特に寒かった。読経と講話の後、御影堂の地下にある約100mの真っ暗な通路を巡って(戒壇巡り:自己を見つめなおとす精神修行)おつとめは終了する。

 

7:35 善通寺出発

 

8:05 76番札所 金倉寺(こんぞうじ) 納経所の二人のお坊さんから、善通寺のおつとめの様子を訊かれた。すぐ近くのお寺なのに、総本山のことが気になるのかな?

 

9:00 多度津町のへんろ道に、貫禄のある楠の大木が生い茂っていた。

 

 

 

9:35 次の77番の手前の住宅街を歩いていると、左側の家から人が出てきて、その人から接待と言って、土の小さな仏様を頂戴する。その中に「77番道隆寺 参拝記念にどうぞ」と書かれた紙が入っていた。

 

 

 

9:40 77番札所 道隆寺 山門に、へんろ半纏を羽織ってやせ細った「乞食」のような人が、ござの上に座っていた。昭和の時代ならいざ知らず、今どきこのような光景に出会うとは、思いもよらずショックだった。へんろの途中お金が無くなって、物貰いをしているのだろうか? 100円を恵む。

 

10:30 丸亀市内に入る。右手の小高い山の上に丸亀城が見える。

 

11:10 土器川の先のコンビニで、肉まんとおでんを買ってイートインする。

 

11:45 78番札所 郷照寺(ごうしょうじ) このお寺の周辺宇多津は、古い商家とか木造の長屋が残っており、歴史を感じさせ風情のある街並みを有している。

 

12:30 坂出商店街 かつては坂出で一番賑わった繁華街であったであろうが、愛媛県新居浜の商店街同様ここもシャッター商店街となっていた。飾り付けが派手なだけ、かえって侘しい。

 

13:25 79番札所 高照院 納経所で団体の後になったが、墨書授印して下さる方が二名となり、雲辺寺と違って、個人の私を先に処理してくれた。

 

14:30 JR鴨川駅から先のへんろ道は、綾川の気持の良い土手となっていて、見晴らしも良く快適に進む。途中に、遠方からも車で訪れると言う有名なうどん屋さんがあった。

 

15:20  80番札所 国分寺 へんろに入って四つ目の国分寺だ。今まで参拝してきたお寺と比べて、特に目立った特徴は無く、へんろの平均的な佇まいのお寺さんであった。

 

16:00 S旅館着 案内された部屋のエアコンが全然効かず、部屋が暖まらないので、隣室に部屋替えさせてもらった。

 

宿泊者は若い男性のへんろと私の二人だった。食事しながら話をすると、彼は地元香川県出身で、区切り打ちではあるが、車を含めて六回四国を巡っているとのことだ。

  

 

41日目の歩数  50,900 歩    歩行距離 33.0 ㎞

 

 

           ー続く(非定期)ー