へんろ日記 12

3月27日にアップした「へんろ日記 11」の続きです。

 

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11月24日(金)(晴 風強し)(2017年/平成29年)

<33日目 松山市北条 → 今治

 

6:55 北条のO旅館を出発。

へんろ道はここから小高い山を越えていくのだが、海岸沿いの車道は瀬戸内海の眺めが良かろうとこちらのコースを取る。後で地図をよく見たら、へんろ道より距離が相当長く遠回りとなった。

 

8:10 大浦 本日の宿は、今治市内のビジネスホテルを予約してあるが、明日は天気が良さそうなので、そのホテルに連泊して、「しまなみ海道」で一日費やそうと考えた。電話すると満室で断られる。

 

今治駅周辺の他のホテルを片っ端から電話したが、全て断られた。明後日の日曜日は今治で何かイベントでもあるのだろうか? 仕方ないので「しまなみ海道」は午前中の半日で済ませ、明日の宿は今治の先の58番札所仙遊寺の宿坊を予約した。

 

8:40 松ヶ崎 瀬戸内海の写真を撮っていたら、ボソボソとした感じの一人のへんろが私を追い抜いていく。しばらく彼の後を歩き、並んだ時に話しかけると、彼は今日がへんろの初日と言っていた。

 

 

 

9:20 菊間 菊間は鬼瓦の町である。国道196号の山側に鬼瓦の工房が続き、人の背丈ほどもある鬼瓦が、宣伝の為か道路に向かって展示してある。

 

          写真ACより kozieZ400GPさんの作品

    写真ACより usshi54さんの作品

10:00 太陽石油菊間製油所 製油所を左に見ながら歩いていていたら、何と私が勤めていた会社の名前の入ったストラップが路上に落ちているのを発見した。このプラントは私の勤めていた頃、建設されたとの記憶があったが、その後メンテナンス工事が行われ、その関係者が落としたものと思われる。

 

11:50 大西郵便局 出発してから今治に電話した以外はノンストップで歩いている。歩きながらピーナッツを食べた。

 

12:00 西ノ山 スーパーと百均が並んでいる。百均でナップザック、手袋、スマホケースを買う。

 

13:10 54番札所 延命寺 納経所では、次の55番までのルートは分りにくいからと手書きの地図を頂いた。

 

55番への途中、石垣上にある巨大なマンションとお城の横を通る。(ホテルのフロントの話では、個人の所有らしい。)

 

14:15 55番札所 南光坊 今治市内のど真ん中にある都会的な寺院だ。広い境内の中は、人が誰も居らず静まり返っていた。

 

14:30 Pホテル着。フロントで明日の「しまなみサイクリング」について話を聞く。自転車をレンタルしてくれるサンライズ I にも電話をし、朝歩いて I へ行って自転車を借り、帰りは駅に返却することとする。

 

17:30 3年前に泊まった時は、ホテル内に食事のできるレストランがあったが、今は夜はやっていないとのことで、市内の繁華街のレストランに行く。エビフライ、ホタテフライ、サラダ、ビールなどを注文したが、何れも量が多く、残してしまった。

          

 

33日目の歩数: 49,400 歩    歩行距離: 32.1 ㎞

 

 

11月25日(土)(晴)

<34日目 今治市しまなみ海道→58番仙遊寺> 

 

しまなみ海道」は広島県尾道市愛媛県今治市の間に浮かぶ島々を、九つの橋でつなぐ70㎞のルートで、本州と四国を結ぶ連絡橋では唯一自動車以外に自転車及び歩行が可能な橋である。特にサイクリストにとっては聖地として憧れのルートだ。

 

 

私は初回のへんろの時もへんろを中断して「しまなみ海道」を訪れてみたかったが、その時は本降りの雨に降られて断念した。

 

今回は天候に恵まれたので、三年越しに行くことができた。

 

5:50 ホテルに荷を預け、未明の暗い道をナップザックのみの軽装で、歩いて出発する。身軽なので非常に快調に歩ける。

 

7:00 橋の入り口到着。自転車をレンタルしてくれるサンライズ I の開業は8時なので、一時間待つのはもったいなく、サイクリングは止めて歩いて橋を渡ることとする。(サンライズには自転車の予約はしていなかったので、問題ないと思う。)

 

しまなみ海道」は地上からかなり高いところにあるので、大きなループを二回りして橋上の高速道路に到達する。

 

 

日の出直前の瀬戸内来島海峡の眺めはすばらしく、この時間、車も自転車も一台も走っていない。ここから尾道方面に向かって、自動車道の脇に設けられた自転車、歩行用通路を進む。

 

 

 

 

8:00 この時間になると、今治から尾道を目指すサイクリストが徐々に現れ始めたが、歩行者は一人もいなかった。大島を目の前にした橋上で休憩する。鶏五目のおにぎり、玉子サンドを食べてここで引き返す。

 

 

瀬戸内の小島は紅葉も始まっていた。

 

 

 

10:35 ホテル帰着、荷作りをして11:15へんろ再開

 

12:05 56番札所 泰山時 派手さは無く地元に根付いたお寺のようだ。

 

12:55 57番札所 栄福寺 この寺の住職・白川密成さんは作家でもあり、著書の「ボクは坊さん」は映画化もされた。

 

門前の土産物屋でうどんとアイスクリームを所望する。食べながら店の女主と雑談をした。(今治に新設予定の今話題の加計学園の話など)

 

14:30 58番札所 仙遊寺 

 

 

 

境内のモミジは、この旅で一番紅葉していた。

 

 

 

宿坊には、私が一番に到着。宿泊客は、個人4名、少人数の団体15名程度だった。

 

この宿坊は、隅々まできちんと掃除され、清潔で実に気持ち良い。風呂は温泉ホテル並みの豪華さで、大きな窓からは今治周辺が一望でき、夜は夜景も楽しめる。

 

ただ、惜しむらくは、食事が完全な薄味の精進料理で、味は私にはイマイチであった。

 

 

34日目の歩数: 48,320 歩    歩行距離:31.4 ㎞

 

 

 

11月26日(日)(曇→雨)

<35日目 58番仙遊寺西条市小松> 

 

6:00 宿坊に泊まった時は、お寺のお勤めに参加する。住職の長い法話が終わった時は6:50、朝食は山菜のお粥だった。

 

7:25 仙遊寺出発 お寺からの山道を下る時、暑くなって上着を脱ぐ。

 

8:35 59番札所 国分寺 四国の各県に一つずつある国分寺、ここは装飾的な物は一切なく、シンプルで幾何学的な感じのお寺さんだ。

 

10:35 世田薬師 ここまで何とかもっていた雨がパラパラ降り出した。雨支度に切り替える。

 

11:50 三芳(みよし) 集落の中心にあるスーパーに立ち寄り、太巻き、メロンパン、赤飯等を買い、イートインできるお店の一角で食べる。地元のオジサンから「どこから来たの?」と声を掛けられ、しばらく相手する。穏やかで純朴な感じのオジサンだった。

 

12:20 日切大師 この辺りは東予地方の、のどかな田舎町で、人の良さそうな住人が行き交っていた。同じ方向に歩いていた中年の女性に話しかけられ、「今日は何処まで行くの?」と訊かれ、宿の名前を言うと、「そこまで車で送ってあげる」と言われた。

 

お言葉に感謝し、大変ありがたいが、へんろの途中ということで、鄭重にお断りする。

 

13:30 丹原池田集会所 農村集落の中の集会所だ。田んぼの中の、いかにも田舎田舎したところだ。

 

14:45 小町温泉 S旅館着。 温泉と言っても天然温泉ではなく、スーパー銭湯のようなところ。それでも風呂は広い大浴場、岩造りの露天風呂があり、温泉気分に浸ることができた。夕食は松茸、サザエの刺身等見た目は豪勢。アルコールはいつものビールをやめて清酒にする。  

 

 

35日目の歩数: 45,500 歩   歩行距離: 29.6 ㎞

 

 

             ー続く(非定期)ー