奥多摩ドライブ

6月7日(水)この日は、水曜日の早朝テニスの日であったが、3週続けて前夜の雨によるコート不良で中止となった。雨は朝5時頃には止み、日中は晴れの予報だったので、急遽、奥多摩方面へドライブに行くことにする。

 

私は車の運転が好きで、若いころは良く乗り回していた。今までに行ったことが無い道を走っていて、素晴らしい風景に出会ったり、新たな発見を体験することは喜びでもあった。

 

一人静かにゆったりと周りの景色を見ながら走るのが好きなので、行き先は自然と人里離れた山道になることが多い。今まで幾多の山道を経験したが、片面が崖、その反対側は谷底に切れ落ちているガードレールのない狭い道で、対向車が来て冷や汗をかきながらすれ違った思い出は今となっては懐かしい。

 

 

今回は、山梨県北東部の「小菅村(こすげむら)」を目指すこととした。小菅村は自分の村を「多摩源流の郷」というキャッチコピーでアピールしている。多摩源流と言っているが、相模川の源流部でもある。

 

アクセスは、多摩川奥多摩湖から入るコースもあるが、私は国道20号の藤野から棡原(ゆずりはら)を経由して県道18号を通って行った。

 

中央線の踏切とその先のトンネルを過ぎると、急に鄙びた山里の風景に代わり、心和む。小山の麓の竹が鮮やかな黄緑色を放ち、周りの緑色から浮き出ていて美しい。昨夜一晩降った雨で、木々の緑も瑞々しい(みずみずしい)。

 

 

暫くして見晴らしの良い地点で、富士山が遠望できた。

 

  (この写真では、よく分からないが、左の雲の合間に僅かに見える。)

 

右に東京都桧原村へ抜ける道を左折すると、「棡原(ゆずりはら)」(読み方が難しい)の集落だ。昭和の時代、この集落の平均寿命が日本でもトップクラスで、新聞にも紹介されたところだ。記事の内容はうろ覚えだが、この集落の人々が、雑穀を主食とし、ほとんど肉を食べない食生活が影響していると書いてあったような気がする。

 

それに由来するのか、道脇に「長寿豆腐」の看板が立っていた。

 

 

 

県道18号を西進する。県道の左下は急に切れ込んでいて、遥か下に鶴川の川面が見える。

 

 

 

               (鶴川周りの緑)

 

登り一方の県道をぐんぐん進むと、左に重要文化財の「長作観音堂」があるので、立ち寄った。

 

ここの看板によると、「六代考安天皇の皇女が、身重の身体でこの地をお通りの折、難産の為おなくなりになった。この話をお聴きになった聖徳太子が観世音菩薩の像を刻み、神楽入(現地の近く)に祀り皇女の霊をお慰めになったと言う。お堂は大同2年(807年)の建立と記録されている。

 

 

 

更に九十九(つづら)折りの急坂を登っていくと、鶴峠でそこからは今度は下りの急坂が続く。この道は暴走族?がバイクのの練習に使っているのか、道路のあちこちにタイヤの擦れ跡が残っていた。

 

 

鶴峠の少し手前から小菅村に入っていた。森林の中の道を通って「道の駅 こすげ」に着く。道の駅には、温泉「小菅の湯」「物産館」「源流レストラン」の建屋が集まっている。まずは、「小菅の湯」温泉に入る。

 

 

温泉は高アルカリ性の天然温泉で、大風呂、サウナ、露天岩風呂、五右衛門風呂、ハーブ湯風呂等がある。大風呂と露天風呂にゆったりと浸かり、湯から上がって、露天風呂横の籐の長椅子に、仰向けに横たわる。

 

温泉の周りは緑の木々に覆われ、温泉の湯の流れる音が聞こえるのみで静寂に包まれていた。空高くには雲の合間に、鷹かトンビかが、羽根は全く動かさずに紙飛行機のように飛んでいた。しばらく寝そべっていたので、日焼けしたかもしれない。

 

この温泉は、浴場の他に、食事処、湯上り休憩所、整体室、個室、宴会場等を備えたかなり広い施設だ。

 

湯上りに食事処で昼食とする。「源流ざるそば」と「天ぷら盛り合わせ」を注文する。メニューにも「源流」の名前が冠している。「桃ジュース」の貼紙がある。ここも山梨県なので、地元の美味しい桃が使われていることを期待して追加注文した。

 

「小菅の湯」を出て、隣の「物産館」に立ち寄る。手作り工芸品や野菜、山菜、小菅村の特産品(コンニャク、ワサビ、鹿肉等)を売っている。特に「これは!」というものも無く、長野の「おやき」のような、野沢菜や切り干し大根の煮物の詰まったおまんじゅうを土産に買った。

 

物産館横の売店で、シャインマスカット入りのソフトクリームを買って屋外の椅子で食べる。

 

帰途は、行きと同じ道を帰るのはつまらないので、小菅村から国道139号を通って、大月市猿橋に出るコースをとる。

 

かつて、小菅から大月へ行くには、松姫峠(1250m)を越えなければならなかった。松姫峠前後の道は、国道といえども狭く九十九折峠りの峠道が14㎞も続き、時々周囲の山々を展望できるが、山の中の険しい難所の道であった。

 

それが、平成26年に、峠の下に松姫トンネルが貫通して、トンネルを含むバイパス(3800m)が開通して所要時間は30分短縮されたという。

 

今回はその一直線の松姫トンネルを快調に飛ばして向こう側に出た。長いトンネルだ。時速60㎞でも4分程かかる。

 

ここから猿橋までは下り一本である。ギアをマニュアルの3速にしてエンジンブレーキを効かせながら走る。フットブレーキは、ほとんど使用しない。信号のない山道を時速40~50㎞で快適に飛ばして、35分で猿橋国道20号に出た。

 

ここからは普通の運転で帰った。