チャットGPT

今回は今世間で話題となっている「チャットGPT]を取り上げます。

 

1 チャットGPTとは?

アメリカの Open  AI  社が開発した人工知能(AI)を使ったチャットサービスで、AIが人間の質問に対して、人間のように自然でクオリティの高い回答をしてくれる。

 

GPTは、Generative Pre-trained Transformer の略で直訳すると「生成可能な事前学習済変換器」砕いて言えば、「自発的に学習をして目的物を生成するAI」ということか。

 

チャットGPTは、メールを作成したり、詩や小説を書いたり、表計算やプログラミングもでき、料理の献立を考えたりもできる。今後普及すると人間の仕事が奪われると言う怖い一面もある。

 

 

2 チャットGPTの今

2022年11月30日に公開されてからわずか2ヶ月でユザーは1億人を超えた。今月上旬にチャットGPT開発会社Open AI のトップ、サム・アルトマン氏が来日し、岸田首相と面会した。

 

その後の自民党との会合では、日本関連の学習データの比重引き上げ等について提案している。経済産業大臣は、懸念点が解消された場合は、国会答弁の作成に利用したいとGPTの可能性に期待している。

 

自治体は、横須賀市のように全庁的に活用を考えているところと、鳥取県のようにGPTの活用には否定的なところと対応に分かれている。

 

現時点でのチャットGPTでは、

①偏見や差別の表現が反映されることがある。

②誤った情報の拡散

③文脈理解の限界

④個人情報、秘密情報漏洩のおそれ

等の課題もあり、便利さだけに目が奪われないよう慎重な対応が必要だ。

(上記①②③は、チャットGPT自らが自分に下した問題点)

 

 

3  チャットGPTを使ってみて

私はこのブログを週一回更新し、多少なりとも文章を書いている人間として、「AIが文章を作成する」というチャットGPTにについては、非常に興味を持ち、使ってみたくなった。

 

OPEN AI社のアカウントにサインアップしメールアドレス、生年月日、電話番号を登録すれば、比較的簡単に使用できる。

 

 

GPT のアプリは英語であるが、質問の入力欄に日本語を入力すると日本語の回答が返ってくる。英語で質問すると回答も英語、入力した言語で返答するようだ。

 

先ずは試しに、夏目漱石の好物から質問し、他にも色々試してみた。入力すると数秒後に下記回答が送られた。

 

1⃣ <夏目漱石の好きな食べ物は何ですか?>

(GPTの回答)

漱石の好きな食べ物についての明確な情報は残されていないようです。しかしながら、彼が晩年に住んでいたイギリスロンドンでは、日本食材が手に入りにくかったため、日本の食べ物に対する懐かしさを感じていたという記録が残っています。又彼が好んでいた飲み物としては、日本茶やウィスキーを挙げる資料があります」

 

(感想)

ウーム、直ぐに返事が返ってきたが、たしか漱石は食通で、色々と食べ物にはこだわりがあったということを読んだような気がしたので、GPTの回答は意外だった。

 

調べてみるとやはり漱石は、お酒はお猪口一杯で赤くなるような下戸であったが、食いしん坊で好物は洋食(ステーキ等のこってりしたもの)とされている。又大の甘党で、スイーツには目が無かったということだ。

 

GPTの文章の内容とは異なる。GPTのAIには、これらのデータはまだ入力されていないという事か?

 

 

次に、前回のブログで私が書いた「筑前煮」について、「AIが書いたらどうなるだろう?」と次の質問をした。

 

2⃣ <筑前煮をテーマに短いエッセイを書いてください>

(GPTの回答)

「『筑前煮』とは、福岡県筑前地方の郷土料理であり、根菜や魚介類をだし汁で煮込んだ煮物です。この料理は筑前地方の厳しい冬の寒さに耐える為、栄養たっぷりで身体を温めることができるように作られました。

 

筑前煮には地域によってレシピが異なると言われています。代表的な材料は、ごぼう、にんじん、こんにゃく、しいたけ、油揚、鯛などがあります。これらの材料を一緒に煮込むことで、だし汁が浸透し深い味わいを生み出します。

 

筑前煮はシンプルな味わいが特徴であり、身体を温め栄養補給ができる為、地元の人たちにとっては欠かせない料理となっています。また最近では、福岡県外でも筑前煮を提供するレストランや土産店増えており、その人気は広がっています。

 

筑前煮を作る時は、材料を一つ一つ手作業で下ごしらえをすることが大切だと伺いました。それぞれの材料が持つ旨味を最大限に引き出すために、手間暇かけて作る料理がより美味しくなるのだと感じました。

 

筑前煮は地元の人たちの生活や文化が詰まった郷土料理であり、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう」

 

(感想)

私が数時間かけて書き上げたテーマを、瞬時に上記文章が打ち出されるのだから驚く。「筑前煮」の一般論としては間違っていないが、文章には、気のせいかどこか人間臭さが感じられない。

 

 

3⃣ <今の季節に相応しい詩を作って下さい>

(GPTの回答)

   「春の陽射し

    木々の芽吹き

    鳥たちのさえずり

    心を踊らされる

 

    桜の花びら

    風に舞い散り

    淡いピンクの色が

    眩しい季節の証(あかし)

 

    暖かな日射し

    空気に漂う香り

    春の訪れを

    感じさせてくれる

 

    心躍る季節

    新しい出会いや

    別れもあるけれど

    未来への希望が満ちている

 

    この春の日々を

    大切に過ごそう

    自然の美しさに

    心を開いて行こう」

 

(感想)

私は「詩」の素養が無いので何とも言えないが、中学生か高校生の作品と言っても、十分通用するのではなかろうか。

 

 

4⃣ <お題が「はなみずき」の川柳を作って下さい>

(GPTの回答)

     「春の息吹

      はなみずき咲き誇る

      満開の風景」

 

(感想)

GPTは短い俳句とか川柳は苦手なのだろうか。全然五七五になっていない。今は駄目でもAIが自分で学習して、将来的にはできるようになるだろう。

 

5⃣<森山愛子の歌唱力について評価してください>

(GPTの回答)

森山愛子は幅広い音域と独特な歌い方で知られる日本のシンガーソングライターであり、その歌唱力は高く評価されています。

 

彼女の歌声は、深い感情とともに心にしみわたるような美しさを持ち、しっとりとしたバラードからアップテンポのポップスまで、様々なジャンルの楽曲に対応することができます。

 

また森山愛子は曲の世界観や歌詞によりそうような表現力に優れており、その歌唱力が楽曲に深みや魅力を与えていると考えます。

 

多くの人から愛される森山愛子の歌声は、彼女の才能と努力によって培われたものであり、その歌唱力は確かなものと言えます」

 

(感想)

森山愛子が「シンガーソングライター」というのは事実と異なるが、その他は一般によく言われていることだ。GPTは人物の評価については、悪いことは書かないようだ。そのようにプログラミングされているのだろう。

 

 

 

4 チャトGPTのこれから

確かに文章作成のスピードは頗る速いが内容の正確性については、まだ十分とは言えない。日本語版は英語版に比べて情報の蓄積量がはるかに少ないので、正確性が劣ると言われている。

 

又チャットGPTに蓄積されたデータは、2022年9月までのものなので、最新の出来事に関しては、正しい判断が難しいそうだ。しかしその内にデータ量も増え、正確性についても改善され、益々利用されるようになると思われる。

 

今回チャットGPTを体験してみて、学校のレポートや論文作成には便利だろうなと思った。東大他の大学では、「チャットGPTのような、生成系AIのみのレポートは認めない」との指針を出した。しかし教員が学生自ら書いたのか、AIが書いたのか判断するのは非常に難しいのではあるまいか。

 

電気自動車テスラのイーロンマスク氏が、チャットGPTに対抗するAI関連企業の設立を発表した。これから世界の先端AI研究開発競争が、益々激しくなるだろう。

 

一方で、世界の有識者からは、先端AI 研究開発を野放しにしていると、人類にとって不測の事態が起こる可能性があるので、その研究開発を一時停止することを求める署名活動が始まっている。

 

そんなことを踏まえてか、日本政府は4月20日官房長官が、5月開催のG7広島サミットで、チャットGPTを議題に取り上げると発表した。信頼できるAIの普及という各国共通のビジョンを実現するための基本的な考え方や方策を討議したいということらしい。

 

いずれにせよ、AIは人間が豊かな生活を送る為のツールであって、SF小説のように人間がAIによって支配されることの無いように、AIに対しては人類の叡知を結集して臨まなくてはいけない。