花火

新型コロナが5類に移行して、3年間中止になっていた全国各地の行事が4年ぶりに復活しているところが多い。この夏は、花火大会も各地で開催され始め、3年間待ちわびた見物客で賑わい、7月末に開催された「隅田川花火」には、100万人以上の客が集まったという。

 

夏の夜空にパッと咲き乱れる花火は、その美しさ、迫力、豪華さにおいて、夏の風物詩としては最も相応しい行事だ。

 

そんな話を友人のSさんとMACで話をしていて、「そう言えば花火は、このところ久しく見ていないので、久しぶりに見てみたいな」となり、「8月1日に近場の相模湖で開催される花火大会に、二人で行ってみよう」ということになった。

 

 

私が最近で打ち上げ花火を見たのは、9年前最初に四国遍路に行った時、宿泊した宿のご主人に、勝浦川徳島県)で開かれた花火大会へ、川の堤防まで車で見物に連れて行ってもらった時だ。季節は10月で田舎の花火大会ではあったが、コンパクトにまとまった美しいものだった。

 

その前は、もう17年も前のことで、連れ合いが亡くなって3ヶ月後に娘と隅田川花火を見に行った。築地から屋形船に乗って船内で天ぷら他の料理を食べて、船から見る花火ということで、陸上での混雑も無く大いに期待した、

 

ところが、私たちの乗った屋形船の停泊地は、JR総武線両国橋近くで、打ち上げ場所から、かなり離れていて夜空いっぱいに広がる花火を下から見上げるというような迫力に欠けていた。

 

更に幻滅したのが、橋近くの隅田川右岸に、巨大な電機メーカーのネオンサインが煌々と色鮮やかな光を発していて、花火見物を台無しにする無粋な存在だった。せめて、花火打ち上げ中はネオンサインを消す配慮があってもいいのではと痛感した。

 

 

さて、今年の花火に話をもどすと、8月1日の当日は、前日までの晴れた猛暑に代わって、朝から曇り空で午後には雷雲が発生して一時的に豪雨となったが30分程で止んだ。(東京都心は激しい雷雨に見舞われたようだ)その後も曇っていたが、もう雨は降らないものと思っていた。

 

相模湖へは車が便利ではあるが、道が少なく花火で大渋滞が予想されるので、電車で行くことにする。Sさんの住まいも我が家の近所なので、同じ最寄り駅で待ち合わせ、八王子を経由して相模湖駅に向かう。車内には、花火見物らしい浴衣姿の若い女性も、ちらほら見受けられた。

 

18時、相模湖駅に着くと雨が降っていた。雨は全く予想していなかったので、ザックの底から折り畳みの傘を取り出し、雨の中会場に向かう。駅から会場までは15分程、花火見物の長い傘の列が、湖畔への急な下り道を移動している。道端には屋台が並んでいる。

 

 

 

会場に着くと、既に芝生の広場には見物のシートが一面に敷き詰められ、我々二人の見物場所確保が当面の課題となった。芝生の横がコンクリの階段状テラスになっていて、既にシートでいっぱいであったが、Sさんはその中に入って行って、大きなシートの横の1m四方位の隙間をを見つけて、そこに陣取った。

 

 

ここは、打ち上げ地点からも近く、絶好の見物場所だったようだ。雨も止んできた。携帯椅子に座り、小さなシートを敷いて食べ物や酒のつまみを並べる。クーラーボックスからビールをとりだして乾杯、スーパーで買った鶏のから揚げ、漬物、乾きもののつまみに加えて、昨日作った肉じゃがもタッパウエアに入れて持ってきた。

 

クーラーボックスは今まで車で使用したことはあるが、手で持ってきたのは始めてだ。重くて運ぶのに苦労したが、その分冷たいビールを飲むことができた。

 

陽も落ちて暗くなった。この見物場所は灯りが無いので身の周りは暗くて、食べ物を探すにもスマホのライトを付けねばならない。

 

19時半、どどーんという爆音とともに、打ち上げが始まった。

 

           ※写真ACより NOREAL さんの作品

※私が撮った花火の写真の貼付が、アップロードの不調によりできなくなりました。この写真は、写真ACからの借用で、相模湖花火とは全く関係ありません。

 

通常花火大会は、花火の説明やスポンサーの放送がなされるものだが、今回は一切放送が聞かれなかった。打ちあがった時の、見物客の「ウオー」という歓声や拍手のみの至って素朴な大会だった。

 

私は花火の中では、最もオーソドックスな尺玉の「菊」が好きだ。爆音とともに夜空一面に菊の大輪が広がり、数秒後にはその残像を残しながら光が消えていって、元の闇空に戻る儚さが何とも言えなく美しい。

 

21時前に湖面にナイアガラの仕掛け花火が点火され、最後に数発の花火が連発されて相模湖花火大会は終了した。

 

Sさんと久しぶりの花火に堪能して帰る。Sさんが「今度は浴衣の若い女の子と来たいな」と言うので「その言葉そのままお返しします」と返事する。