サラ・ブライトマン in ウィーン大聖堂

今から10年以上前、卓球のお友達が「これ、良いわよ」って言ってサラ・ブライトマンのCDアルバムを貸してくれた。

CDに収められた曲は、主にクラシックとポップスが融合したもので、

(クラシカルクロスオーバーというらしい)彼女の卓越した歌唱力に圧倒された。

 

 

サラは、1960年イングランド生まれ、ミュージカル女優としてデビューし

オペラ座の怪人」の成功で世界に知られるようになる。

その後ソロ歌手として活躍し、1996年「Time To Say Good Bye」が爆発的に

ヒットし国際的なアーティストとなり、下記にも出演している。

 

・1992年 バルセロナオリンピック 閉会式

・2007年 世界陸上大阪大会 開会式

・2008年 北京オリンピック 開会式

 

日本でも、1991年、2018年のNHK紅白歌合戦、2010年の東大寺ライブに出演。

 

サラの声帯は、ポップス的なものとソプラノ的なものを使い分けることができ、

その声域は3オクターブを超えると言われている。

 

CDを借りてから暫くしたころ、NHK-BS-Hi の「World Premium Live」という番組

でサラのライブの模様が放送された。

これは、2008年1月16日に、ウイーンのステファン寺院大聖堂で行われたコンサートの

ライブ映像である。

 

私はサラに夢中になりかけていた時なので、欣喜雀躍してこの放送を視聴し録画した。

この録画は、私がそれまでに録画したものの中では、最高のもので、宝物となった。

 

放映後も何度も繰り返し視聴し、当時の週末の朝は、このビデオを見ながら朝食を摂る

のが習慣になったほどだ。

 

 

それから10年程サラから遠ざかっていた。

それが最近たまたま見ていたYouTube のネットサーフィンでサラと再会した。

ステファン大聖堂の動画も、通してのものは無かったが、個々のものは

数点投稿されていた。

 

懐かしくなって動画を視聴し、録画もテレビの大画面で再度見直した。

 

このライブが行われたのは、極寒の1月、大聖堂内は暖房が入っていないと思われる。

(観客は厚いコートを着てマフラーをしている人も多い。)

そんな中、サラは肩を大きく出したドレスで毅然と歌いきっている。清々しい。

 

それにしても、このライブの映像、演出は非常に素晴らしい。

大聖堂の内部調度品を巧みに取り入れて、荘厳な雰囲気を醸し出し、

クレーンを使った高位置からの撮影、ロック調の演奏ではレーザー光線がふんだんに

飛び交う。

 

サラのバックには、クラシックオーケストラ、コーラスそれにロックバンドが控え、

重厚かつ強烈な演奏でサラの歌唱を盛り立てる。

 

とにかく、再度見ても素晴らしい映像であった。

 

サラはこのライブで、「オペラ座の怪人」「Time To Say Good Bye」「アヴェマリア

他10曲ほど、歌っている。どの曲も皆素晴しいのであるが、私のお気に入りは、

「ATTESA」と「RUNNING」である。

※ 2曲とも投稿時の動画が削除されたので別の動画に差し替えます。

  (旧動画を消せなくてすみません)

      

  

①「ATTESA」

 


ATTESA....sung by Sarah Brightman


www.youtube.com

 

これは、マスカーニ作曲「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」をサラ用にアレンジ

したものだ。

 

通常はオーケストラで演奏され、ストリングスの音色が殊の外美しく、広大な草原の

草が風になびく映像とともに流される演奏動画が多い。

 

ここでは、大聖堂の仏像のような彫刻が並ぶ壁を背に、サラがソロで歌い上げる。

そのソプラノは人の声か、楽器の音色か区別がつかぬほど美しい。

 

曲の最後のところは、一段と高音となって、張りがあるが柔らかく、周囲に溶け込むような歌声は将に神業のようで心に沁みた。

 

 

②「RUNNING」

 


11 Sarah Brightman RUNNING at 1280x720 HD fmt=22

 


www.youtube.com

  

この曲は、ホルスト作曲「木星」をサラ用にアレンジしたもので、副題が

「ジュピター~栄光の輝き」だ。

サラはこの曲を日本でも世界陸上大阪大会開会式、東大寺ライブでも歌っている。

 

ステファン大聖堂では、まずオーケストラの前奏が始まり、聖堂の後方に立った

サラが「ジュピター」を歌い始める。

一節が歌い終わったところで、伴奏がドラムを激しく打ち鳴らすロックの演奏となる。

レーザービームが飛び交い、ヘビメタの会場のようだ。

 

その演奏に合わせて、サラが颯爽と前方のステージに向かって、客席の間を進む。

ステージの階段を登り、パッと180度客席に向かって振り向き、

ひと声「AH~~~~~~~」と綺麗なソプラノ音が会場に響き渡る。

 

観客も視聴者も息を飲んで痺れるところだ。

 

伴奏は、スチールギターがメインの、ビートの利いたロック調、

ドラマーが狂ったように激しく叩いてリズムをとる。

 

サラが2節を歌いだす。バックはオーケストラ、コーラス、ロックバンドが

総出で盛り立てる。

 

終盤、スチールギターのバーンという音とともに、一瞬静寂となる。

バイオリンソロ演奏で落ち着いたところで、サラがジュピターのメインメロデイを

歌って終わる。

 

起承転結があって、素晴らしいステージだ。

 

 

久しぶりにサラと再会し改めてサラの偉大さに感動した。