ハラスメント

<カスハラ>

朝のニュースで、東京都が「カスハラ防止条例」の制定を検討していると報じられた。「カスハラ」とは「カスタマーハラスメント」のことで、客の立場をいいことに暴言を浴びせたり、過度な要求を突きつけたりすることだ。

 

以前スーパーのレジで、高齢の男性がレジの女性に対して大声で怒鳴っているのを遠くから見たことがある。男性は誠に見苦しく、レジの女性が気の毒でもあり「仕事とはいえ、大変だな」と同情した。

 

年を取ると脳の前頭葉機能が低下して感情を上手くコントロールすることができなくなる傾向があると言われている。それと、男性高齢者の場合、テストステロンという男性ホルモンが低下して精神面が不安定な状態になることがあるそうだ。

 

スーパーで見た高齢の男性は、上記のような症状によるものかもしれないが、怒鳴られる側のストレスは大きなものになる。

 

高齢者でなくとも、商品の購入者が、電話でクレームをつけ、担当者やコールセンターの相手に対して、理不尽な要求をし、それが叶わないと罵詈雑言を浴びせると言った話はよく耳にする。

 

「カスハラ条例」の具体的な内容については。これから検討とのことであるが、条例の制定が「カスハラ」の抑止に繋がれば喜ばしいことだ。早期の実現が期待される。

 

 

<マルハラ>

最近「マルハラ」が話題となっている。「マルハラ」とは、大人世代から若者へのLINEの文章で、最後に句点の「。」が付いていると若者は「怖い」とか「冷たい」と感じたり威圧感を感じたりすることらしい。

 

私なんかは、文章の終わりにマルを付けるのは当たり前と思い、LINEでも必ずマルを付けていた。マルが若者には威圧感を与えると聞かされると、戸惑ってしまう。若者世代はLINEでは基本的にマルを使わなくて、普段見慣れていないので、ついているとその意味を考えて「怖い」「冷たい」とか威圧感を感じてしまうということだ。

 

昭和の人間からすると「そんなこと知った事か!」とも思うが、彼らの感情を配慮して、今後若者とのLINEでは、マルなしの短い文章を心掛けようと考えた。

 

 

<ハラハラ>

「ハラハラ」とは、「ハラスメントハラスメント」の略称で正当な行為をハラスメントだと主張する嫌がらせ行為のことだ。

 

近年、様々な種類のハラスメントが問題となっていることを利用して、自分の権利を過剰に主張する事例が増えている。

 

昔と違い、今の会社の上司は部下への接し方が大変難しくなっている。部下の不適切な行為に対する指導や、スキルアップのための厳しいノルマ設定が、部下からパワハラと訴えられることがあるそうだ。

 

プライベートに関するコミュニケーションに関して、昨今はプライベートには一切踏み込まれたくないと考える人間が増えているようだ。「奥さん元気?」と聞いただけで、「プライベートなことを聞いている、気持ち悪いセクハラだ」と騒ぎ立てられた例もあるという。

 

ハラハラが蔓延すると、部下が成長しなくなったり、職場の雰囲気が悪くなったり、モチベーションが低下する。ゆゆしき問題である。

 

友人と話していて、職場以外でも、自分が気に入らない相手の言動に対して、やたらとハラスメントだと主張する人がいると言っていた。私の周りには、そのような人が見当たらないのは幸いなことだ。

 

 

<セクハラ/ジェンダー不平等>

セクハラの定義は、「相手の意に反する性的言動」とある。ハラスメントは個人の尊厳や人格をを不当に傷つける行為で、相手にその意図がなくとも受け取る側が不快に感じれば、ハラスメントは成立する。ジェンダー不平等は社会的・文化的な性別に基づく偏見だ。

 

私は、大袈裟かもしれないが、歌謡曲、特に昭和時代の歌謡曲の歌詞には、今の概念からすると「セクハラ/ジェンダー不平等」に当たるものが多くあるのではと思っていた。

 

昭和の時代、まだ男尊女卑の思想は根強く、女性とは男性にとって「可愛いもの」「男性に尽くすもの」との考えが一般的であった。歌謡曲の男の作詞家は、女心を表わすのに男の目線で、男の身勝手な願望を交え、男心をくすぐる様に書いたと思われる。

 

・「なみだの操」  殿さまキングス   作詞 千家和也

 ・・・あなたの決してお邪魔はしないから

    おそばに置いてほしいのよ

    お別れするより死にたいわ

    女だから・・・

 

・「恋の奴隷」 奥村チヨ  作詞 なかにし礼

 ・・・あなたの膝にからみつく

    子犬のように

    だからいつもそばにおいてね

    邪魔しないから

    悪い時はどうぞぶってね

    あなた好みのあなた好みの

    女になりたい・・・

 

・「だんな様」 三船和子 作詞 鳥井実

 ・・・私の大事な だんな様

    あなたに寄り添い いつまでも

    心やさしい 女房でいたい・・・

 

・「時の流れに身を任せ」 テレサテン 作詞 荒木とよひさ

 ・・・時の流れに 身をまかせ

    あなたの色に 染められ

    一度の人生それさえ 捨てることもかまわない

    だから お願い そばに置いてね

    いまは あなたしか 愛せない ・・・ 

 

そして、極めつけは次の「浪花恋しぐれ」だろう。

 

・「浪花恋しぐれ」  岡千秋/都はるみ  作詞 たかたかし

    芸の為なら女房も泣かす

    それがどうした文句があるか

    ・・・

    なんやそのしんき臭い顔は

    酒や!酒や!酒買うてこい!

    ・・・

    あんた遊びなはれ 酒も飲みなはれ

    あんたが日本一の落語家になるためやったら

    うちはどんな苦労にも耐えてみせます・・・ 

 

 

昨今の自立した女性からすると、このような歌詞は「バカ言ってるんじゃないわよ」と不快に感じるのではなかろうか。

 

私自身は、昭和の人間なので、これらの曲自体は好きで否定するものでは無い。あまりセクハラを主張し過ぎると「ハラハラ」になる。